05月23日のこの欄で西尾先生が、文庫巻11[穴]のサブ・キャラクター、〔平野屋〕の番頭でかつての〔馬伏〕の茂兵衛に関連し、「牛伏」が茨城県東茨城郡内原町の字名として存在するとした上で、池波さんがご存じだったとしても、〔帯川〕の源助とは接点がないので、採用しなかったでしょうね、と冗談めかしてお書きになっています。
それでいろいろ調べて、結論が出ました。
私の回答は、いまは京扇の店〔平野屋〕の老主人におさまっている〔帯川〕の源助と「牛伏」の茂兵衛というコンビでもOKです。
もっとも「牛伏」も茨城県のそれではなく、長野県の美ヶ原にある「牛伏山」からの「牛伏」ですが…、〔帯川〕の源助と同じ長野県ということで接点を見つけました。〔帯川〕の源助が長野県下伊那郡阿南町「帯川」の出身としての話ですが……。
池波さんは長野県にはお詳しかったので、牛伏山をご存じだったと思います。
またこの「牛伏山」のとなりには「鹿伏山」もあります。池波さんは、『雲霧仁左衛門』にかっての〔雲霧〕一味でいまは火盗改方の密偵となっている〔鹿伏〕の留次郎を登場させていますね。
「鹿伏」を郵便番号CDで検索したら、
・新潟県佐渡郡愛川町
・兵庫県宍栗郡波賀町
・香川県木田郡三木街
の字名として、また愛知県津島市鹿伏兎町の四つがありました。
山岳名として小生の知っているのでは長野県の鹿伏山と大分県の鹿伏岳ですが、これらの中のいずれかから命名したのでしょう。
ところで、「馬伏」の読み方についてすこし気になっていたのですが、浅羽町HP「くらしのガイド――町の文化――文化財」の「馬伏塚城址」の説明文に、「馬伏塚」の読み方は「まむしづか」「まぶせづか」と両方あるが、いまでは一般的に「まむしづか」と読んでいるとあり、安心しました。
ついでに、郵便番号CDの検索で出てくる愛知県渥美郡渥美町の「馬伏」は「ばぶし」、大阪府門真市の「上馬伏」「下馬伏」の「馬伏」は「まぶし」と読みます。
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