午後、平蔵は役宅を出た。
 まだ約束の時間には早かったが、まっすぐに深川へ向った。


平蔵が役宅から出てくるのを、金子半四郎はもの陰から見張っていて、すぐに尾行したが、小川町あたりで、平蔵はそのことに気づいていた。

飯田町 九段坂(『江戸名所図会』) 

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