2005年 3月

――敬称略・逆日付順――


3月25日



3月25日
2005年03月25日(金)

〔波津〕という名前

発信:管理者の西尾―――

 長谷川平蔵の継母を〔波津〕したのは、池波さんの創作です。
『鬼平犯科帳』というシリーズ名は、『オール讀物』への連載時につけられたもので、その以前から準備されていたノート「・長谷川平蔵年譜・基メモ」に、その名はすでにあらわれています。
 しかし、長谷川伸師の書庫の『寛政重修諸家譜』から写したらしいそのメモで、平蔵の実父を、大伯父や祖父とならべて四男と誤記したことから、従妹であるべき  〔波津〕が、『鬼平犯科帳』では姪になってしまいました。
〔波津〕の出典は、田沼意次の知行地、相良の近くの〔波津〕としたのは、熱愛倶楽部の藤沢宿の太兵衛さんでしたか。


 藤沢周平さん『たそがれ清兵衛』(新潮文庫)に収められている[祝(ほ)い人(と)助八](『小説新潮』1988年06月号)にも〔波津〕という名の武家娘が登場しています。池波さんの〔波津〕に遅れること20数年です。
 まあ、藤沢さんも『鬼平犯科帳』を読んでいて、記憶にのこったと考えておきましょう。
 池波さんは、藤沢さんの登場のころ、さかんに「藤沢という新人はいいぞ、いいぞ」と編集者たちにすすめていますが。



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