〔犬神〕の権三について




2004年08月03日(火)  21:13

「犬神村」について

発信::居眠り隠居

「犬神村」について、西白河郡表郷村文化財保護委員会発刊、同保護委員鈴木整著「いるやまのいのかみ」を見つけたので、抜粋を紹介します。

「いるやまのいのかみ」 アイヌ語のような書名をつけたか、これは実は入山、犬神地名の古語呼称だからと。漢字だと「冶る山の冶の神」。

位置は、福島県西白河郡表郷村大字金山字犬神部落。表郷村最南端で、西白河郡の最南端でもあります。
海抜 600mから 700mの八溝山系の山岳が連なり、そこを源として北へ流れる小渓黄金川の峡域に三方山に囲まれ、現在戸数31戸の小部落です。

行政は藩政時代の金山村(現在の大字金山)庄屋の支配下で、金山村の発祥地と伝えられが物証的何物もありません。
の字句は明治新政府の地籍改革で「犬神」に変更されたものだが、それまでは狼神(いぬかみ)と書かれ、ある時代は笈神とも書かれました。
その頃から入山村とも通称されて今に及んでいます。ずっと古くは、冶る山(いるやま)の冶の神(いのかみ)といったのが訛って「いりやま」、「いぬがみ」となったそうです。

いりやまを語るにはまず、金山(きんざん)を挙げるべきでしょう。。金山村の地名の起こりは、きんざん村であったろう。奈良時代に金を産したといわれ、「続日本記」には、天正年間(1580)に常陸国太田の城主佐竹侯支配のもとに、盛んに採掘され、荷駄場(にたば)1000軒、小手(おで)1000軒、霧伏(きりぶせ)1000軒、3000軒の人家があったと伝えられています。

黄金沢の奥まった所に大山祇命、並びに冶金の神金・山彦命、金山姫命を祀ります。権現様のおふねと称する岩場があり、この小沢を権現沢と呼び、一沢一帯を神域として尊厳を保っていました。地方最古の神社と考えられます。つまり、冶の神であり、村名の所以であります。
沢は聖地として、女人禁制はもちろん男子といえども年に一度の行、部落内の如来堂に集まり禊をして白衣(行衣)を着、行列で竹筒の法螺を吹き鳴らし、「サンゲザンゲ、ロッコンショウジョウ、オホヤマハンジョウ」と声高らかに呼称しつつ参詣するほかは、山菜採りにも栗拾いにも入るべきでないと固く守られていました。

悪習か美風かはともかくとして、各家の世帯主全部に綽名がついていました。

 きつねまだ亀次
 ぶっちめの幸左エ門
 かっか倉蔵
 まめくいひょろ松
 くろんぼ粂三郎
 どしなり東吾……など。


[犬神の権三]の権三郎は「鼻も口も大ぶりで眉毛が濃く、髭の剃り跡も青々とした役者顔の、なかなかにいい男」とあり、「槍の権三」を連想したのですが……。
こんな盗人のために命を落とした〔雨引〕の文五郎があわれに思えてなりません。





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