女賊〔鯉肝のお里〕について




2003年10月12日(日)  09:33

[鯉肝のお里]の名

発信:森下文化センター〔鬼平〕熱愛クラブ
   おまささん

文庫巻 9[鯉肝のお里]のことが話題に出ていますが、きのうの教室で、〔鯉肝〕のお里の名前が「お里」に決まった珍説を聞きました。
池波さんは、題名を「鯉肝の…」と書こうとして、「鯉」のつくりの「里」を書き終えて「お里」という名前をおもいついた、というのです。
『鬼平犯科帳』にはこうした作家の遊びがいろいろあるから探してごらん……とも。


管理者:西尾からのレス

[鯉肝のお里]はそれはそれとして、池波さんから呼び名をつけられた女賊は、

〔猿塚〕のお千代 [5-3  女賊]
〔掻堀〕のおけい [7-4  掻堀のおけい]
〔鯉肝〕のお里  [9-5  鯉肝のお里]
〔珊瑚玉〕のお百 [11-5 密告]
〔砂蟹〕のおけい [12-2 高杉道場・
三羽烏]
〔網虫〕のお吉 [16-2 網虫のお吉]
〔荒神〕のお夏 [23  炎の色]

7人のうちの、〔掻堀〕のおけい、〔砂蟹〕のおけいは呼び名が「か」行で、名前も「か」行から採られているので音読してすわりがいいことはたしか。



2003年10月11日(土)  22:15

もう一つの西尾隠岐守下屋敷

発信:横浜在住のムーさん

お初です、よろしく。
10月04日の遠州・横須賀藩主の西尾隠岐守下屋敷についての解説、拝読しました。文庫巻 4[敵(かたき)]に出てくる小梅の下屋敷とは別に、南八丁堀5目にあった下屋敷が巻 9[鯉肝のお里]に顔を出しています。

 この夜。
 鯉肝のお里は南八丁堀五丁目にある西尾隠岐守(遠江・横須賀三万五千石)下屋敷の仲間(ちゅうげん)部屋でひらかれている博奕(ばくち)場へ出かけていたのだが、いつまでたってもさっぱりつきがまわってこず、
(今夜は、もうやめにしよう)
 あきらめて、西尾屋敷を出て牛の草橋をわたりかけ、件(くだん)の炬燵やぐら売りを見たのである。
                           
p50 新装p53


管理者:西尾からのレス

ムーさん、ようこそ。ご指摘のとおりです。
ところで、ムーさんによる引用文について、こんな裏エピソードをご存じでしょうか。
南八丁堀にあった西尾隠岐守の下屋敷は「五丁目」ではなく「四丁目」(現・中央区入船1丁目 3あたり)でした。池波さんは、「五丁目」と、なぜ、誤記したか。池波さん愛用の切絵図〔近江屋板〕が誤記していたからです。
近江屋板には南八丁堀「四丁目」がなく、「五丁目」が二つ彫られています。

金吾堂近江屋板「日本橋南芝口迄」(部分)
画像内 をクリックすると、拡大画面が表示されます。

金鱗堂尾張屋板はきちんと「四丁目」ときちんと彫っています。
これからも、遊びにきてください。





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