長谷川伸について




2003年11月29日(土) 13:15

『沓掛時次郎・瞼の母』カバー絵の描き手は?

発信:草越(くさこし)の暇盗人さん

長谷川伸[沓掛時次郎]にまつわる話につられて出てきました。時次郎の生まれ故郷である小諸・沓掛に近い、長野県北佐久郡御代田町(みよたまち)の住人です。
富川氏が11月17日に紹介された、ちくま文庫『沓掛時次郎・瞼の母』カバー絵の画家はどなたでしょう?
旅芝居役者の姿をみごとに活写、と感じ入り、小諸市内の書店で文庫を探してみたものの見つからなかったので。


管理者:西尾からのレス

なんと、かの著名な安野光男画伯の画業です。
文庫は第 1刷が1994.10.24。
ぼくも東京の大きな書店で文庫棚を精査しましたが、すでに在庫切れのようでした。



2003年11月28日(金)

関の弥太郎の生国は……

発信:西尾のひとりごと―――

11月17日付の当コーナーへ、富川さんが長谷川伸師の戯曲のことを投信されました。
で、[関の弥太っぺ]の通り名の「関」から、関宿で捨て子にされた伊三次を連想しましたが、関の弥太郎の「関」は、東海道の関宿ではなくて、常陸の国は結城在の関本でした。
同じ[関の弥太っぺ]には、博徒で〔平木〕の豆鉄が登場しますが、これって[浅草・御厩河岸]の密偵・豆岩命名のヒントかも。
[瞼の母]には、『剣客商売』の本所横網町の居酒屋〔鬼熊〕の命名に関係ありそうなのが出てきます。江州阪田の郡、醒ヶ井から南へ一里、磨針(すりはり)峠の山の宿、番場の忠太郎の産みの母親・おはまが江戸・柳橋水熊横町でやっている料亭〔水熊〕がそうです。



2003年11月17日  11:51

番場忠太郎地蔵尊

発信:朝日カルチャーセンター〔鬼平〕クラス
   富川博見さん

先日「中山道歩き」で「番場宿」(滋賀県米原町)を訪ねた折り、〔番場忠太郎地蔵尊〕が祀られていた「蓮華寺」に参詣して来ました。
ご存じ、長谷川伸の戯曲『瞼の母』の主人公・番場の忠太郎に因む地蔵尊でした。
忠太郎が番場宿の旅籠屋の息子という設定であったことに由来することのようです。
長谷川伸が「南無帰命頂礼 親をたづぬる子には親を子をたづぬる親には子をめぐり合わせ給へ」と悲願をこめて建立したものだそうです。
最近は親子縁結びのお地蔵さんとしてお参りする人が多いのだそうです。
「西尾鬼平の門下生です」と、地蔵尊にぬかずき頭を垂れて来ました。
「春慶寺と岸井左馬之助」のものとは、恐らく比較にならない位に大規模なものなのではないでしょうか。
上尾図書館で長谷川伸著『瞼の母・沓掛時次郎』(ちくま文庫)を借り出し、通読しました。[瞼の母][沓掛時次郎][関の弥太ッペ][雪の渡り鳥][一本刀土俵入り]「暗闇の丑松」の 6篇が収録されていました。


『瞼の母・沓掛時次郎』(ちくま文庫)

先戯曲を手にするのは初体験でしたが、読み慣れてくるにしたがい、ぐいぐいと引きずりこまれてしまいました。

橋本正樹氏の解説――
「世間という荒波をのりきるために、不幸な生き方を選ばざるを得なかった主人公が、心のいちばん弱い部分を律しながら運命に立ちむかいやがて抗いきれずに自らの人生を切り刻んでゆくというのが、六作品に共通した筋立てである」
「旅役者が長谷川伸を慈父のようにあがめるのは、多くの代表作を無断上演しても、あえて苦言を呈さなかった寛容さを、幕内で語り伝え、いまもって徳としているからである」
「幕切れのクライマックスまで観客をぐいぐい引っぱっていく巧さと、役者の趣向で千変万化しうる独特な台詞で、長谷川伸は一頭地を抜いていた」「もっと高く評価されるべきは、観客の心を完全に掌握した、もしこんな言葉があるなら”観客通”だった点だ。舞台の展開にともなう観客の微妙な心の動きや反応をきっかり計算しつくして、長谷川伸は戯曲を書き進めていたのではあるまいか。さらには舞台と客席がかもしだす劇場の空気までも視座におさめていたのかも知れない」


――示唆的でありました。
長谷川伸氏は「三歳のとき母と生別、家が破産して一家離散し、小学校を中退、出前の小僧や土方、石工などの辛酸をなめた。」と履歴にあります。
池波正太郎と同じような境涯にあったのですね。「番場の忠太郎碑」が建立された所以のものでもあったのですね。菊池寛がお師匠さんだったことも初めて知りました。


管理者:西尾からのレス

すばらしい[瞼の母]詣ででしたね。〔番場の忠太郎〕は『鬼平犯科帳』でいったら、さしずめ、伊三次ですかね。池波文学研究の一つの道が、長谷川伸考究です。
[わいわい 長谷川伸]ページを新設しましょう。





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