役宅の奥庭に植えられている花木。
(花の季節に合わせて順次アップ)
鬼平のときどきの心情を代弁し、季節感を盛りあげるが、
久栄も丹精したことであろう。
冬から春  藪椿(やぶつばき)
春       ・
初夏    躑躅(つつじ) ・枸橘(からたち)の実 ・花柘榴(はなざくろ) 
        ・南天(なんてん)
晩夏から秋 木槿(むくげ)  ・女郎花(おみなえし)
秋から初冬   ・梅擬(うめもどき)

藪椿(やぶつばき)

ふっくらと赤く咲きひらいた庭の藪椿へ目をやりつつ……

([14―4 浮き世の顔]p160 )


にっこりと笑った長谷川平蔵が居間へ入った。
居間の障子が閉まった。
奥庭の白梅が満開となり、その香りが微
(かす)かにただよっている。
何処かで鴬が鳴いた。

([21―4 討ち入り市兵衛]p169 )

物の芽が萌(も)え出ようとする庭の一隅に、白梅が咲き匂っている。
([21―5 春の淡雪]p185 )

長谷川平蔵が、目白台の私邸から清水門外へもどる日の朝は、雲ひとつなく晴れわたり、奥庭の梅が咲きそろって、鴬が鳴いている。
([22―11 引鶴]p350 )



花入れの桜花は、伊三次が役宅を出てくるときに裏庭から手折ってきたものである。

([12―4 密偵たちの宴]p160 )

躑躅(つつじ)

小柳(安五郎)のうしろから、(高木)軍兵衛は大玄関の横手の潜門
(くぐりもん)から内庭へ入って行った。
内庭と奥庭の境にも、低い土塀
(どべい)がある。
土塀の潜門を入ると、そこは奥庭で、正面が長谷川平蔵の居間であった。
若葉の鮮烈なにおいがたちこめてい、植込みの紅と白の躑躅が盛りである。
([8―1 用心棒]p44)


枸橘(からたち)の実

庭には、夕闇が淡くたちこめ、生垣の枸橘が白い花をつけて、その香りが居間にただよってくるかのようだった。

([7―3 はさみ撃ち]p108 )


花柘榴(はなざくろ)

庭の花柘榴に、霧のような雨がけむる午後であった。
([10―4 五月雨坊主]p172 )


南天(なんてん)

奥庭の木や草が滴
(したた)るように鮮烈な緑の色があふれ、植え込みの南天が六弁の小さな花をつけているのが目に入った。
([18―3 蛇苺]p107 )

木槿(むくげ)

或朝。居間の庭に咲いている木槿をながめつつ、長谷川平蔵が茶を喫していると……。
([4―6 おみね徳次郎]p234 )


女郎花(おみなえし)

垣根のあたりに、かたまって咲いている小さな黄色い花を見やった岸井左馬之助が、
「や、女郎花*おみなえし)がさいている……」

([15―雲竜剣]p349 )


(お熊婆さんが、鬼平から、盗賊改方の御用にはたらくことをつつしんでお受けするか? と訊かれ、
「するとも、するとも、大(おお)するだ!!」
と答えたとき、菊の香が、どこからか、しずかにただよっている。
([10―7 お熊と茂兵衛]p297 )



「庭の菊が、まだ鼻先に残っているように気がしていたのに……」
([7―5 泥鰌の和助始末]p182 )


梅擬(うめもどき)
奥庭の一隅(いちぐう)に長谷川平蔵みずから植えこんだ梅擬の実も、赤く熟し……。
([■―1 雨引の文五郎]p7)

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