この船宿〔鶴や〕のある石島町は、船宿の多い深川でも外れだし、空地や草原が多く人目にもつかぬ。前を流れる堀川か扇橋から小名木川へ合し、これが大川(隅田川)へ通ずる。


小名木川は、長さ1里10町(約 5.1キロ)。川幅20間(36メートル)の人造江渠である。武田信玄の塩飢餓に学んだ徳川家康が行徳の塩を江戸城へ円滑に運ぶ水路として開鑿させた。
川名はかつて鰻沢(うなぎさわ)川と呼ばれたことに由来、捕れたのが〔江戸前うなぎ〕。
小名木川と竪川を横につなぐ大横川は、長さ1里余、川幅20間。

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尾張屋版


小名木川五本松(『江戸名所図会』)

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