「これは近頃、池の端・仲町の浪花やで売り出しました白梅香という髪あぶらなのでございます」


[妖盗葵小僧]のもとなった短編[江戸怪盗記]は、池之端仲町をこう描写する。
 仲町は、上野・不忍池の南面にあり、元黒門町の西側に細長くつらなっている町で、有名な〔錦袋圓〕本舗だの、閑清堂という袋物問屋だの、武具、書籍、文房具など、高級な店がずらりと並んでいる。
そこでぼくたちも、『江戸買物独案内』に載っている仲町の店をすべて集めて江戸時代の仲町の通りを構成してみた。
「白梅香」を売りだしている店のモデルは、御伽羅之油の〔万屋〕吉兵衛方だろう。

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尾張屋版


不忍池(『江戸名所図会』)


『江戸買物独案内』(文政7年 1824)
 池の端商店

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