おろくのむかしの客のひとりで、大伝馬町の木綿問屋・大丸屋の手代で万吉という若者がいた。十七年前のそのころ、万吉は二十三、四というところで、若い男の肌が好きなおろくは欲得はなれて可愛がってやったものだ。


この万吉が大丸屋のひとり娘の婿になって大身代をついでいたことから事件となるのだが、それはさておき、『鬼平犯科帳』で「ひとり娘」と「娘」が漢字になっているのはここだけ。あとはすべて「むすめ」。

大伝馬町木綿店(『江戸名所図会』)


『江戸買物独案内』(文政7年 1824)
 大丸屋


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尾張屋版


両国橋(『江戸名所図会』)
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