0469道潅山聴虫
『江戸名所図会』巻之五 玉衡之部
キャプション
文月(ふみづき)の末を最中(さかり)として、とりわき名にしおふ虫塚の辺りを奇絶とす。詞人・吟客ここに来たりて、終夜 (よもすがら)その清音を珍重(めではや)す。中にも鐘児(まつむし)の音(こえ)は勝れて艶(うるわ)しく、莎鶏(はたおり)、紡織娘 (きりぎりす)のあわれなるに、金琵琶(すずむし)の振り捨てがたく、思はず有明の先をまちたるも一興とやいはん。
まくり手にすずむしさがす浅茅かな 其角
『御宿かわせみ』に登場
道潅山の行楽
[10-1 蛍沢の怨霊]p9 新装p10
[24-3 日暮里の殺人]p82
鬼平熱愛倶楽部 2018 田無の弱法師
投稿者 nishiot : 2006年03月02日 09:29
コメント
虫たちの合唱から好みの音(ね)を聴きとる---チン・チロリン・チン・チロリン。
リン・リン・リン・リーン。
スーイッチョン…スーッ。
「まつ虫が鳴きはじめると、鈴虫・馬追いも負けじと音(ね)をあわす」『江戸名所花暦』(岡山鳥著、長谷川雪旦絵)の道灌山の項である。
花の名にはそれほど通じていない男性も、幼いころに聴きおぼえた虫の音色は忘れていない。もし、虫たちの合唱会がこの絵のように開かれている場所があれば、秋の宵を、月の出を待ちながら過ごしてみたいとも思うはずである。
(季刊雑誌『お元気ですか』2006年秋号の表紙裏のために用意したが不発だった文。執筆のために、レコード店をまわって秋虫の泣き声のCDを探したけどなくて、けっきょく、図書館から借り出してiPodに入れて何回も聴いて書いたんだけどなあ)。
投稿者 西尾 忠久 : 2006年09月28日 09:48
虫の声を愛でに行くという雰囲気を色で表すのは大変で、夜の帳が下りる頃なのか、宵闇が迫る頃なのか、考えた末にかなり明るい夜になってしまいました。
江戸の人々は四季折々の風景が楽しめる道灌山では、虫聴きや花見、月見、雪見を楽しみました。自然を感じるということにかけては労力、お金を惜しまないところに感動します。
投稿者 豊島のお幾 : 2006年07月12日 13:52
満月も東の地平から昇ってきます。
ようやく、夜も青白い光につつまれましょう。
しかし、それほどは明るくありません。
その感じを画面全体におよぼすのは、かなりの技術を要しそうです。
投稿者 西尾 忠久 : 2006年07月04日 17:12
道灌山聴虫の図会、UP感謝いたします。
虫の音という、絵では表現しにくい対象をどう塗るか、それに夜景です。まだ未完のような気がします。
手を加えても変り映しないかもと迷っております。
投稿者 田無の弱法師 : 2006年06月29日 16:25
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