ホオジロ(頬白)
(役宅の)どこかで、頬白が鳴いている。
[8-6 あきらめきれずに]p243  新装p257
(季節:寛政5年(1793)秋)

奥庭で、しきりに頬白が鳴いている。
「これよりは、よほどに気をつけぬと……」
呟くようにいいさした平蔵は、佐嶋と松永を前に、半眼となって沈思しはじめた。
[19-2 妙義の団右衛門]p83 新装p83
(季節:寛政10年(1798)初夏)

各務:秋から冬の季節、ホオジロは田畑や林のふち、河原などの草の実を食べるから、チチッ、チチッとよく透る声で鳴く。この時期、明るい山道のブッシュや野道のわきなどでこの声がしていたら、それはホオジロ。同じ場所でチッ、チッという声がしたのなら、アオジかシベリアから渡って来たばかりの冬鳥カシラダカである。ホオジロとアオジは留鳥か漂鳥(国内を季節によって移動する鳥)。ホオジロは長い尾をした明るい茶色の体色。胸から腹は薄茶。白い眉斑・黒い過眼線の小鳥。よく似たカシラダカの冬羽は薄い茶でしばしば冠毛を立てる。腹は脇をのぞいて白。繁殖期にさしかかると、ホオジロは虫を食べるようになる。3月ごろにはさえずりはじめる。


ホオジロ・雄 軽井沢・小鳥の森 2002.02


文芸評論評家&バードウォッチャー 各務三郎





ウグイス(鶯)  ・ツル(鶴)  ・ガン(雁)  ・ツバメ(燕)
ヒバリ(雲雀)  ・シラサギ(白鷺)  ・モズ(鵙)  ・スズメ(雀)
トビ(鳶)  ・クイナ(水鶏)  ・ホオジロ(頬白)  ・ヒタキ(鶲)
カラス(鴉)  ・ウグイス(鶯)  ・コマドリ(駒鳥)  ・ヒワ(鶸)
バン(鷭)  ・ムクドリ(椋鳥)  ・チドリ(千鳥)  ・タカ(鷹)

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