ムクドリ(椋鳥)
曇り空に夕日もさえぎられ、どこかの木立で椋鳥(むくどり)がけたたましく鳴いている。
[8―6 秋の炬燵]p300 新装版p330



杉並区和田堀公園 約24cm。2003.01
         田畑、町の公園などで虫や木の実などを食べる。


ムクドリのねぐら入り 宮城県伊豆沼 1995.10
           夕方、集団でねぐらをとるために、次第に集まってきて飛びまわる。
           しまいには5,000羽ぐらいになった。


各務:寺島村の畑道を、子どもを背負ったおはるが歩いている――その子を狙う殺し屋をおびき出す作戦だった。椋鳥の群れがキュル、キュル……と騒ぎ立てる声がひびいている。
西尾:天明元年(1781)の紅葉どき。小兵衛63歳、おはる23歳。
各務:東京の街では年中見られる留鳥。秋口になると群れが大きくなる。夕方には数百羽が電線などに密集する。そのあと、竹藪にそろって飛びこむ。いわゆる集団ねぐらである。10年ほど前まで、善福寺川周辺で見られた光景だが、竹藪はアパートに変わってしまった。かつて東京のムクドリは漂鳥だったがメジロなどと同様、留鳥になった。夏、若鳥たちが芝生に集まる光景をよく目にする。体長は25cmくらい。茶色い体色。嘴と足があざやかなオレンジ。江戸時代、冬に地方から出稼ぎに来る人たちは数万人いたという。武家の中間、商家の下男・下女など下働きの職種は多岐にわたった。農作業が終わる11月から翌年2月までで稼ぐのである。近国の訛り、また多勢で来て一斉に帰国するので、江戸の人は彼らを椋鳥にたとえた。

椋鳥と人に呼ばるる寒さ哉 蕪村


文芸評論評家&バードウォッチャー 各務三郎





ウグイス(鶯)  ・ツル(鶴)  ・ガン(雁)  ・ツバメ(燕)
ヒバリ(雲雀)  ・シラサギ(白鷺)  ・モズ(鵙)  ・スズメ(雀)
トビ(鳶)  ・クイナ(水鶏)  ・ホオジロ(頬白)  ・ヒタキ(鶲)
カラス(鴉)  ・ウグイス(鶯)  ・コマドリ(駒鳥)  ・ヒワ(鶸)
バン(鷭)  ・ムクドリ(椋鳥)  ・チドリ(千鳥)  ・タカ(鷹)

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