9月4日のハイライト
文庫巻6-6[盗賊人相書]をアップ。
池波さんの食に対するすさまじいほどの執着心をかいまのぞけるのは、〔東玉庵〕の広告で「雪みぞれ」を見ただけで、「大根おろしにもみ(ヽヽ--傍点)海苔をあしらった蕎麦」と想像したところ。
まあ、大根おろしまでは、たいていの読み手が連想する。いや、食に関心の薄い読者は読みとばすかもしれない。
もみ(ヽヽ)海苔は、どこからの発想だろう?
香りに鋭敏な「ネ(鼻)」の持ち主でないと、添えないかもしれない。
メグレ警視ものの作家---ジョルジュ・シムノンは、匂いの描写が巧みなので「ネ」の作家と呼ばれた。
池波さんを「食通」と呼ぶ人は多い。しかし。 「ネ」の作家と喝破した人はいない。
「食」は、香りと色と感触でなりたっている。
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