〔竹森(たけもり)〕の彦造
『鬼平犯科帳』文庫巻6に収録されている[狐火]に登場。〔狐火(きつねび)〕の2代目を勝手に自称する文吉が、腹ちがいの兄・又太郎と別れて去ったとき、文吉にしたがって一味を抜けていった盗人。若いころ、仙台藩の中間部屋へいたこともあり、剣術が多少はでき、先代〔狐火〕の勇五郎の左腕といわれていた。
(参照: 〔狐火〕の勇五郎 2代目の項)
年齢・容姿:39歳。容姿の記述はない。
生国:備後(びんご)国奴可郡(ぬかごうり)竹森村(現・広島県比婆(ひば)郡東城町竹森)
甲斐国山梨郡、羽前国置賜郡、越後国三島郡にも竹森村があるが、鳥取県に近い中国山脈の中の広島県のここを採ったのは、京都に本拠を置いていた〔狐火(きつねび)〕へなら、羽前や越後よりも近いとみたことと、広島県出身者がこれまで1人もいなかったので、つい、選んでしまった。
探索の発端:親類の法事に佐倉へ出向いた帰り、松戸に一泊して中川の新宿の渡し場へやってきた密偵おまさが、茶店の亭主におさまっている、かつての〔〔狐火〕一味の右腕だった〔瀬戸川(せとがわ)〕の源七を見かけた。
(参照: 女密偵おまさの項 )
(参照: 〔瀬戸川〕の源七の項)
一家皆殺しの凶行のあと、〔狐火〕の札を残していく賊が上方に出たことで、〔狐火〕の2代目を継いだ又太郎が〔瀬戸川〕の源七のところへやってき、先代が死ぬ前に〔竹森〕の彦造に命じたこともないがしろにしていること、文吉を殺して〔狐火〕を名のろうとしていることも判明した。
結末:文吉を殺して自分が〔狐火〕を名のろうとしていることを悟った文吉が、先に彦造を殺害。
つぶやき:広島県の鬼平ファンは、〔竹森〕の彦造のように没義道な盗人でなく、もうすこしましな盗人の出身県にしてくれ、とおっしゃるかもしれない。
また、彦造が仙台藩の中間をやっていたこともあるというなら、羽前国置賜郡竹森村の出身と見たほうが理にかなっていないか、という方もいよう。
ま、今回は、目をつむっていただきたい。
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