〔三の松〕平十
『鬼平犯科帳』文庫巻1の[暗剣白梅香]に、根津権現かいわいの盛り場を束ねている顔役として登場し、浪人・金子半四郎(38歳)に鬼平の暗殺を委嘱したのを皮切りに、ちらちらと姿を見せるのが、〔三の松〕平十という悪である。
(参照: 浪人・金子半四郎の項)
根津権現(『江戸名所図会』より 塗り絵師:西尾 忠久)
年齢・容姿:根津権現門前の盛り場を一手にたばねているほどだから、かなりの年配とみていい。50歳前後か。それにふさわして貫禄だろう。
生国:〔三の松〕という地名はない。「三松」とすると、若狭(わかさ)国大飯郡(おおいこおり)三松(みつまつ)村が『旧高旧領』にみられる(現・福井県大飯郡高浜町三松)。
登場の経緯:鬼平の暗殺を策したのは、〔蛇(くちなわ)〕の平十郎である。金子半四郎は300両なら引き受けてもいいと、〔三の松〕平十に答えている。蔓(仲介)が半金を懐に入れる仕掛け稼業の法則に拠ると、平十も300両を得たことになる。
(参照: 〔蛇〕の平十郎の項)
その後も、[むかしの女] で、雷神党の浪人どもに鬼平暗殺を依頼している。
つぶやき:暗殺の仕掛けのシステムを池波さんが考案したのは、この篇が最初かどうか、まだ、調べていない。『仕掛人・藤枝梅安』シリーズが始まったのは、この篇の5年後である。
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