女賊お糸
『鬼平犯科帳』文庫巻24の[女密偵女賊]で、女密偵おまさのかつての仲間として登場した女賊お糸は、鬼平の味なはからいによって、[二人五郎蔵]では、女密偵として初手柄をたてる
(参照: 女密偵おまさの項)
年齢・容姿:[女密偵女賊]は、計算どおりだと寛政11年(1799)の師走の事件となる。おまさ41歳。そのおまさよりお糸は4つか5つ年下(p18 新装版p16)というから、36か37か。色は浅黒いがたっぷりと量感のある大柄な躰。
生国:不明。
探索の発端:女密偵のおまさは、情報をとるために、渋谷の宝泉寺(渋谷区東2丁目)門前で花屋をやりながらときどきはいまでも口合人をやっている〔佐沼(さぬま)〕の久七(70歳)を訪ねた。
渋谷・氷川社と宝泉寺(『江戸名所図会』より 塗り絵師:ちゅうすけ)
〔押切(おしきり)〕の駒太郎の名を聞いた。そのあと、麻布の天現寺の毘沙門堂(港区南麻布4丁目)門前の茶店で、だれかと待ち合わせているらしい女賊お糸を見かけた。
(毘沙門堂 『江戸名所図会』より 塗り絵師:ちゅうすけ)
翌日も、お糸は毘沙門堂門前の茶店で待っていた。
お糸が待ち合わせていたのは、夫婦約束までしていた〔押切〕の駒太郎であった。
〔押切〕の駒太郎が錠前はずしとして働いていたのは、血をみる急ぎばたらきも平気な〔鳥浜(とりはま)〕の岩吉(52歳)一味であった。
結末:〔佐沼〕の久七から〔鳥浜〕の岩吉一味の盗人宿を聞きとった鬼平は、駒込・吉祥寺裏の〔植半〕を急襲して13名を召し取った。岩吉の口から、一味を抜けたがっていた〔押切〕の駒太郎を、浪人・森七兵衛に殺させたことを吐かせると、鬼平は、賭場にあらわれた七兵衛を斬り、お糸に密偵となることをすすめた。
つぶやき:お糸は、女密偵第2号である。鬼平は、お糸のどこを見こんだのであろう。純粋さでか、仕事ぶりでか。
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