カテゴリー「041酒井祐助」の記事

2007.01.23

同心筆頭・酒井祐助

_16酒井祐助といえば『鬼平犯科帳』の中では「同心筆頭」と思われているが、じつは彼が「同心筆頭」の肩書きを冠されたのは、シリーズも後半に入った[16-4 火つけ船頭]p182 新装p187 tow@ある。

もちろん、辞令が下付されたわけではない。突然、肩書きがついた。

酒井祐助については、2006年4月14日の[酒井祐助の同心筆頭は]で、主役を張った篇が1篇もない理由を考察した。

そもそも---などと改まるほどのことではないが、『鬼平犯科帳』における長谷川組の同心の総数は[6-1 礼金二百両]では約40名p11 新装p11、[11-4 泣き味噌屋]では45名p130 新装p135 と明記されている。

史実の先手・弓の第2組、長谷川組の定員は30名だが、それは平(ひら)の先手組としての人数であって、火盗改メを拝命すると、若干の臨時の補充がされたらしい。

酒井祐助の「同心筆頭」の発令を、池波さんが文庫第16巻まで遅らせたわけを、ぼくは、池波さんの頭の中に、小柳案がずっとくすぶっていたからではないかと推察している。

だが、小柳安五郎は出動中に妻子を死なせ、その痛手から容易に回復しない。それでは組織としてうまくない。
で、しびれをきらせて酒井祐助にふったのだろうと思っているが、いかがなものであろう。

小柳には、「同心筆頭」の肩書きの代わりに、お園という妹を与えた。

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2006.04.14

同心筆頭・酒井祐助

初出の篇
 [1-2 本所・桜屋敷]p71 新装p76
201

その後の登場篇
 163話中86話(登場率51%)

肩書き
 同心筆頭
 [9-5 浅草・鳥越橋]p186 新装p194から「筆頭」と明記
209

特技
 柳剛流の免許もち

老中首座・松平定信側の隠密の秘密リポートは、長谷川組の与力・同心は「まえまえから火盗改メをつとめてきており、その仕事ぶりで名を知られている者が多いし、功績もこの上ない者たち」とほめたたえている。

『鬼平犯科帳』の同心たちで「この上ない者たち」といえば筆頭の酒井祐介、一刀流の免許皆伝の沢田小平次、亡妻のことを忘れない組きっての美男の小柳安五郎、そして「この上ない」のは道化役としての木村忠吾あたりが登場率が高い。

それぞれ一話以上に主役をふられている…といいたいが酒井祐助だけは別。
163話中83話(登場率51パーセント)に名前がでるのに、一度も主役を演じていない。不思議だ。

不思議といえば、年齢もはっきり書かれない。初登場のとき木村忠吾は24歳、沢田小平次は[兇賊]で27歳、小柳安五郎は[血頭の丹兵衛]で23歳。

しかるに酒井同心は家族のことはさっぱり。
いや、[1-2 本所・桜屋敷]で、鬼平が引き取って養育することにしたお順に、酒井の女房からもらい乳をしているから、子どももいたらしいが、3年半後の第36話[鈍牛(のろうし)]には独身とあり、子どものことも書かれないし妻帯の気配もない。

しかし第13話[密偵(いぬ)]では、底冷えの中を張り込みをしている平蔵へ温めた酒と煮しめを入れた岡持ちを配慮し、山田同心へ「酒井を見習えよ」と平蔵にいわせる。

[鈍牛]でも、放火犯を挙げた同僚は見込みちがいをしているのではないかと平蔵へ進言。当時、放火犯の誤認逮捕がわかると、火盗改メの長官は罷免になるどころか閉門さえ命じられかねない失態だった。それはそうだろう、放火犯は捕まると火刑だから、捜査側も相応の責めをおうのが道理。

いつも冷静で、深慮遠謀、しかも統率力もあり、気配りも十分な酒井祐助は、ミニ中間管理職としてはほとんど満点がつけられる。それなのになぜ池波さんは彼に主役をふった物語を書かなかったかを推理してみた。

酒井同心は、欠点がなさすぎる。短所のない人間なんていっこない。ダメ部分がかえって愛嬌になっていることもある。部下をもったら短所の矯正に努めはする。が、隠しはしない。
むしろ下の者へは「自分はこういうマイナス点がもっている。君たちも欠点を認めた上で行動するように」と短所を男の磨き砂とすることをすすめる。


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