同心筆頭・酒井祐助
酒井祐助といえば『鬼平犯科帳』の中では「同心筆頭」と思われているが、じつは彼が「同心筆頭」の肩書きを冠されたのは、シリーズも後半に入った[16-4 火つけ船頭]p182 新装p187 tow@ある。
もちろん、辞令が下付されたわけではない。突然、肩書きがついた。
酒井祐助については、2006年4月14日の[酒井祐助の同心筆頭は]で、主役を張った篇が1篇もない理由を考察した。
そもそも---などと改まるほどのことではないが、『鬼平犯科帳』における長谷川組の同心の総数は[6-1 礼金二百両]では約40名p11 新装p11、[11-4 泣き味噌屋]では45名p130 新装p135 と明記されている。
史実の先手・弓の第2組、長谷川組の定員は30名だが、それは平(ひら)の先手組としての人数であって、火盗改メを拝命すると、若干の臨時の補充がされたらしい。
酒井祐助の「同心筆頭」の発令を、池波さんが文庫第16巻まで遅らせたわけを、ぼくは、池波さんの頭の中に、小柳案がずっとくすぶっていたからではないかと推察している。
だが、小柳安五郎は出動中に妻子を死なせ、その痛手から容易に回復しない。それでは組織としてうまくない。
で、しびれをきらせて酒井祐助にふったのだろうと思っているが、いかがなものであろう。
小柳には、「同心筆頭」の肩書きの代わりに、お園という妹を与えた。
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