仕掛人・森七兵衛
『鬼平犯科帳』文庫巻24の[女密偵女賊]』で、独りばたらきの女賊お糸(36,7歳)と夫婦約束をしている、これまた独りばたらきの錠前破りの名人〔押切(おしきり)〕の駒太郎が殺された。
(参照: 女賊お糸の項)
(参照: 〔押切〕の駒太郎の項)
殺させたのは、彼がいま働いていた〔鳥浜(とりはま)〕の岩吉(52歳)で、直接に手をかけたのは、〔鎌鼬(かまいたち)の異称をもつ浪人仕掛人の森七兵衛であった。
むろん、岩吉と七兵衛の間には、仕掛けを金で請け負う人物が介在している。
年齢・容姿:年齢は記載がないため不明。推測では30代後半。背丈があり、広い肩幅。かなりの遣い手。
生国:不明だが、江戸生まれか。
探索の発端:口合人〔佐沼(さぬま)〕の久七が教えた盗人宿で、〔鳥浜〕一味は捕縛された。
死刑を覚悟した岩吉は、いうことをきかなくなった駒太郎を、殺すことを、浪人・大野甚五郎経由で〔鎌鼬〕の七兵衛に請け負わせた。
七兵衛の住まいは、根津権現の境内で酒屋〔三坪〕をやっていたお園が、新夫の小柳安五郎へ告げた。
結末:不忍池の脇の松平伊豆守の下屋敷の賭場からでてきた七兵衛を、待ちうけていた鬼平が脇差を飛ばして殪した。
つぶやき:「鎌鼬」を、鳥山石燕『画図百鬼夜行』は、「窮奇(かまいたち)」と表記している。
絵は、『画図』の中ではもっとも力動感にあふれている。
解説によると、旋風をおこし、人に剃刀で切ったような傷を与えると。
池波さんは、森七兵衛の太刀風から、〔鎌鼬〕という異称を与えたのであろうか。
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コメント
かまいたちは「鎌鼬」「窮奇」のほかに『北越奇談』では鬼神の刃に当たったことによるものとして「構太刀」と称しているそうです。
投稿: 豊島のお幾 | 2005.11.22 00:08