9月5日のハイライト
文庫巻6-7[のっそり医者]をアップ。
この篇は、一人の男の再生の物語である。
早川民之助時代の罪を、荻原宗順となってつぐない、この世でふたたび生きるために、重畳の艱難に耐えきる。
それは、長谷川銕三郎として重ねた恥さらしを、平蔵宣以が身を粉にして帳消しにしようとしているのと同じ次元のことかもしれない。
が、そのことには、いま触れない。
これまでもほとんどの篇で紹介しきた『江戸買物独案内』だが、この篇では、池波さんは、実町名、実屋号で引いている。
もちろん、ほとんどの読み手は、そのことに気づかないで読みすすむ。
が、こうして史料を目にすると、池波さんの周到ぶりにあらためて驚こう。
読み手に、無意識のうちにリアリティを感じさせる、池波小説の現実感の一要素がこれ、といっておこう。
小説の神は、細部に宿りたまう。
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コメント
テレビシリーズ(吉右衛門さんの)で、宍戸錠さんが荻原宗順を好演してましたよね?
実は、吉右衛門以前の映像は観た事が無いのですが、それぞれ、嵌り役と言うのはあったんでしょうね。
個人的には、富士真奈美さんの「おまさ」が観てみたい。
あと、吉右衛門さんの「辰蔵」も。
話題が脱線しましたが、上記、宍戸宗順の台詞にも言えると思うのですが、脚本と監督、役者さんの池波さん理解度(?)によって、
映像作品は、変わって来ますよね。これに視聴者の思い入れが加わるのだから、きっと大変なんだろうなぁ。
投稿: ぴーせん | 2006.09.07 20:08