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2006.09.17

9月17日のハイライト 

文庫巻8-5 [白と黒]をアップ。

きのうにつづいて、『江戸買物独案内』にまつわるエピソード。

引用した菓子舗〔船橋屋〕は、鬼平のほんのすこしあと、江戸の名店だった。
 船橋を わたってきたと とうじいい
この川柳の「とうじ」は、酒仕込みの杜氏にかけた「菓子杜氏」---つまり菓子職人で、「鮒橋屋で働いていました」と職歴を自慢している。

この店が有名になったのは、将軍・家斉(いえなり)の愛妾・お千代の義父で、向島に別邸をもつ中野播磨守(石翁)への手土産に指定されたためとの説もある。
店は、鬼平熱愛倶楽部の白浜さんによると、地下鉄・木場駅前に現存していると。

文庫巻10-1[犬神の権三]で、密偵おまさと権三の情婦おしげが入った上野広小路の〔船橋屋〕は、別のしる粉屋らしい。
Photo_202

しる粉屋のこの品書きから、池波さんは、2品を篇中へとりこんだ。

亀戸に現存する葛餅の〔船橋屋〕は、上記2店とは関係のないと、七代目当主・渡辺孝至氏が証言。

別件
この篇に登場した〔翻筋斗(もんどり)〕の亀太郎について、鬼平佐嶋与力へ「密偵につかえるとおもう」から考えておくように伝えている。しかし、結果は不明。

同様に、密偵に取り立てられたはずなのに、その後の物語でまったく活躍していないのは、
[3-4 兇剣]     鯨の源吉 p203 新213
[4-2 密通]    〔矢掛〕の仁七 p123 新p128
[8-5 白と黒]   〔飜筋斗〕の亀太郎 p240 新p253
[20-2二度あることは]眼鏡師の市兵衛 p95 新p99
[21-1泣き男]    按摩:辰の市とお峰 p42 新p44
[21-3討入り市兵衛]
            鞘師の長三郎と万七 p169 新p174

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