9月2日のハイライト
文庫巻6-4[狐火]をアップ
本篇は、おまさが恋のために鬼平の許を去って京都へ行ってしまう、鬼平ファンにとってはショッキングな事態となる物語だから、ほんらいなら、おまさの心情の経緯を追うのが本筋かもしれない。
しかし、ここで、注目してほしいのは、池波さん の類い稀な造語力。
盗賊用語(とうぞくようご)については別項をたてて紹介しているので、きょうは、家伝薬のネーミング。
〔延寿不問丸〕なる秘薬は、存在しなかった。
それを、池波さん は、『江戸買物独案内』の2個の広告から、部分を抽出・合体させて創りだしてしまった。
「延寿」にしても、「不問丸」にしても、先人が頭をひねって考案した、効き目のありがたそうな薬名である。
それを2個つなげたのだから、効き目は2倍(?)か。いや、読み手はそう信じるだろう。
江戸期の売薬のネーミングの秀逸さについては、稿を改めて解説しよう。
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