〔岡ノ井(おかのい)〕の弁五郎
『鬼平犯科帳』文庫巻12に所載の好篇[密偵たちの宴(うたげ)]に〔大滝(おおたき)〕の五郎蔵の配下として登場した〔岡ノ井(おかのい)〕の弁五郎は、16年前、お頭の五郎蔵へ、腕利きとして〔草間(くさま)〕の貫蔵を推挙した。
(参照: 〔大滝)〕の五郎蔵の項)
(参照: 〔草間〕の貫蔵の項)
しかし、五郎蔵は、「あいつの躰からは殺した人の血のにおいが、生臭く臭っている」といって遠ざけ、弁五郎には、「もう、あいつとつき合っちゃあいけねえぜ」と釘をさした。
年齢・容姿:どちらも記述がない。
生国:因幡(いなば)国気高郡()けたかこおり岡井村(現・鳥取県気高郡鹿野町岡木)。
各種地名辞書に、「岡ノ井」は載っていない。それで、「岡井」で検索して、鹿野町にあたった。池波さんの頭にあった地名とは異なっているかもしれないが。
鹿野町は、ぼくが小学1,2年生を過ごした村から山一つ越したところにある。
村中総出で、文字どおり「兎を追いし」山で、なつかしい。
三河生まれの貫蔵と因幡出の弁五郎がどこで知り合ったかは不明。
探索の発端と結末:16年前のことなので、どちらもかかわりがない。
つぶやき:>[密偵たちの宴]は、五郎蔵たち密偵が、本格のお盗めの手本を示そうとした事件に、〔鏡(かがみ)〕の仙十郎一味がからんでくる物語である。貫蔵は連絡(つなぎ)役。
(参照: 〔鏡〕の仙十郎の項)
その貫蔵を説明するために、〔岡ノ井〕の弁五郎がかりだされたわけだが、同時に五郎蔵のお盗めぶりの解説役も兼ねている。
このあたりが、池波さんの人物の出し入れの巧みなところである。
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