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2006.01.11

〔須川(すがわ)〕の利吉

『鬼平犯科帳』文庫巻2の[埋蔵金千両]』 で、首領〔小金井(こがねい)〕の万五郎と〔須川(すがわ)〕の利吉は、伊賀の山中、奥間野の猟師小屋で一味を解散するにあたり、ためこんだ1900両を分配するといつわって手下5人を毒殺、万五郎が1300両、利吉が600両を取った。
利吉はその金で、信濃の上田に小間物屋〔加納屋〕利兵衛店を開いている。
15年ほど前、万五郎が大坂で古手屋に仮装していたとき、使っていた飯炊き女を孕ませたが、その始末を番頭を装っていたり吉がつけたこともあった。
事件は、死病にとりつかれた万五郎が下女おけいに、1000両の隠し場所を打ち明け、利吉にうち500両をあのときの子へ渡してくれるように頼みに行かせたところから始まった。

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年齢・容姿:どちらも記述がない。
生国:上野(こうずけ)国吾妻郡(あずまこおり)入須川村(群馬県利根郡新治村須川)>
屋号の〔加納屋〕から、美濃国厚見郡下加納村(現・岐阜県岐阜市加納本町)もかんがえたが、『旧高旧領』に見あたらないので「須川」をとった。もっとも「須川」も信濃の上田にはない。

探索の発端:麻布・飯倉片町の指圧医師・中村宗仙の、癒したら50両という治療を、万五郎がうけたことから、鬼平の疑惑の念がはじまった。見張りがつき、小金井の貫井橋の先の埋蔵場所まで尾行された。

結末:埋蔵金の1000両は、気を変えた下女おけいが一足先に掘り出していた。万五郎は、心の臓の発作で、その場で息絶えた。
おけいは、その後、捕縛。
利吉については記述がない。

つぶやき:おけいを出発ちさせてから万五郎は、〔須川〕の利吉がまともなかんがえの主でないことにおもいいたる---が、そんなことは、はなからわかっていること(もちろん、わかっていたら、物語が成立しないのだが)---一味をたばねていた首領ともあろう者の浅慮の一失というべきか。
まあ、人間、賢いようでも、弘法も筆の誤り、ときに愚かな行いをするから、この世はおもしろいし、物語のタネがつきない。

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