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2006.04.07

同心・小柳安五郎

初出の篇
 [1-3 血頭の丹兵衛]p110 新装p115
丹兵衛一味を追って、島田へ出張る。

その後の登場篇
  162話中、69話に登場(登場率43%)

年齢:
  寛政5年(1793)年の[8-2 あきれた奴]の時が31歳。
  宝暦13年(1763)年生まれ。

家族:
[8-2 あきれた奴]の事件の2年前、初産で妻・みつが赤子とも
ども逝く。
  菩提寺は、阿部川町の竜源寺。
  亡妻みつの実家は、本所・亀沢町の御家人・井上友之助
(50俵2人扶持)。
差料:
  近江守助直 2尺5寸 [9-7 狐雨]p287 新装p300
この寸法の太刀を帯ていると、身長は1m65cmほど?

仲間の木村忠吾による小柳評
  「寒い日にぬるま湯からあがって燗冷ましの酒でもよろこんで
のむような---」

鬼平熱愛倶楽部の聡庵さんが、「部下に持つなら、小柳安五郎と澤田小平次のどちら」の発表時につくった資料から、小柳の項を以下に適宜、抜粋。

●能力
 〇得意分野
  1.町人への変装が得意 [14-6 さむらい松五郎]
  2.思慮深い行動 [16-2 網虫のお吉]
           [18-5 おれの弟]
           [20-1 おしま金三郎]
  3.自白させるに能力 [17 鬼火]

 〇指揮・指示
  1.竹内とともに川越役所応援50名を指揮
           [1-3 血頭の丹兵衛]

 〇職務能力・臨機応変・直観力・配慮
  1.情味を兼ね備えた取り扱い [8-2 あきれた奴]
  2.鬼平の食事が済むのを待つ気ばたらき 
           [12-2 高杉道場三羽烏]
  3.(こやつ、松五郎)と直感
           [14-6 さむらい松五郎]
  4.相手が相手なれば---と、平蔵へ報告
           [20-1 おしま金三郎]
  5.平蔵は小柳を役宅詰とした
           [22 迷路]

  6.佐嶋につぐ相談相手[24 誘拐]

●性格・感情
  1.事件が起きると非番も当番もなく働く
    われから危機に立ち向かう
           [8-2 あきれた奴]
  2.兎忠と仲がよい [11-男色一本饂飩]
  3.黒沢同心とお吉の後をつけて報告。
    平蔵は、小柳が讒訴しないことを知っている 
            [16-2 網虫のお吉]
  4.いざとなると純真な直情をむきだす[同]
  5.松波を推挙する友情 [20-1 おしま金三郎]

●容姿
  1.組きっての美男  

つぶやき:
小柳家の菩提寺のある阿部川町(現・元浅草3丁目)には、了源寺と竜福寺が並んでいる。
了源寺のご住職の言。「2つの寺号を合成して、架空の竜源寺をおつくりになったのでしょう。
池波さんは、少年時代をここらで過ごした人だから」

1401_1
架空の寺号の源の一つ---了源寺

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043小柳安五郎」カテゴリの記事

コメント

小柳安五郎について不思議に思う事があります。

文庫1-3 「血頭の丹兵衛」でデビューといってもその時は「同心・竹内孫四郎と小柳安五郎が指揮し、遠巻きに配置を終えた。(P.110)とあるだけです。

ところが文庫8-3 「あきれた奴」では「その日。火付盗賊改方の同心・小柳安五郎は[非番]であった。」で始まり、この一編はまさに安五郎一色です。

池波さんは突然思い出したように安五郎を書き、そして読書に鮮烈な印象を植え付けました。

昔の安五郎については「剣術が得意でなく、色白のほっそりしとした、やさしげな面立ちの男」と書いてます。
すると血頭の丹兵衛星を捕らえるために島田に出すほどの同心でもなかったようです。

安五郎を豹変させるきっかけが、この再登場までの間に何が池波さんの心の内におきたのでしょう。

投稿: 靖酔 | 2006.04.07 20:52

小柳安五郎の差料は近江守助直。

この刀。長谷川平蔵も持ってますね。
私の記憶しているのでは、文庫11「密告」p202
文庫21「春の淡雪」p171でも使っています。

「近江守助直」は江戸時代攝津の国の刀工で
現在では時々刀剣美術展でみかけます。

犯科帳の中で 鬼平は色々な刀を使いますが
池波さんは、刀がお好きだったのでしょうか。

投稿: みやこのお豊 | 2006.04.07 23:47

犯科帳を繰り返し読むと、小柳安五郎への読後感も少しづつ変わってくる。

はじめはの内は、小柳の性格・感情面のまじめさ、一途さが強く印象に残った。
何度も読み返すと佐嶋につぐ職務遂行能力を持つゼネラリストで、鬼平のかける期待も非常に大きいとの印象を強くなりもつようになってきたが、これは私だけだろうか!!

投稿: 聡庵 | 2006.04.09 00:15

あきれた奴はサークル内でも人気の作品で原作は勿論,ビデオも見そして昨年11月には「あきれた奴と池波正太郎さんの散歩コースを歩く」というテーマで現地学習を行いました。了源寺,竜福寺,ついでに鯉寺そして西光寺で池波さんの墓参も済ませ,記念館。〆は花ぶさでの食事と実の有る学習でした。勿論手引書は先生の旬報社刊行「鬼平犯科帳を歩く」です。それにしても妻と子を同時に亡くした悲しみはたとえようも無く。お役目で死んで早く妻子の元へ行きたいと思っていたほどなのに23巻の「隠し子」で平蔵の異母妹お園と相思相愛になったことに我がサークルの女性陣は憤慨していたのを思い出しました。

投稿: 会津のお熊 | 2006.04.10 16:38

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