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2006.05.30

御仕置例類集の謎

長谷川平蔵宣以(のぶため)に関する、信頼できる史料がすくないことは、これまでもたびたび指摘してきた。
信頼できる史料の一つに、幕府の評定所(最高裁判所とでもいえようか)の事例を集めた『御仕置例類集』がある。

旧幕から引き継いだものを、司法省調査部が昭和16年(1941)から約3年かけて刊行した(太平洋戦争の物資不足の折りに、よくまあ、出版できたものだとおもう)。

全16巻のうち、第1巻と第2巻---いわゆる「古類集」といわれるもののなかに、長谷川平蔵名義の伺いが200葉ばかりある。

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平蔵の伺いが収録されている2冊

もっとも、200葉といっても、呉服店へ押し入って金品を盗んだ盗賊の1人に、家を貸した家主、またその盗賊から反物をもらって着物に仕立ててしまった家主の弟の告発状もあり、この例の場合は1事件で3葉の伺いがあげられている。だから、じっさいの件数は200より少なくなるが、それぞれが別の項目のところに記録されている例も少なくなく、注意して寄せ集めないといけない。

上記の手つづきをへて、平蔵をはじめ、火盗改メ本役の前任者の堀帯刀、後任の森山源五郎などの伺い件数を表にしてみた。

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平蔵の伺い件数は、寛政4年(1792)以降、急増しているのが目につく。
寛政4年といえば、平蔵が知恵と私財をつぎこんで建設し、苦労して運営を軌道にのせた石川島の人足寄場[取扱]を解かれ、替りに幕臣としての格が数等下の村田銕太郎が正式の[寄場奉行]に発令された年である。

もちろん、[奉行]といってもその格式の軽重はピンからキリまであり、かならずしも[取扱]という肩書が下というわけのものではない。しかし、平蔵の心中は平穏ではなかったろう。

そのリベンジとまではいわないが、評定所への伺いを頻発することで、下調べの与力たちがてんてこまいしたことは容易に想像できる。

この推察は、あたっているかどうか。

つぶやき:
『御仕置例類集』全16巻は、数年前、神田の古書店で18万5000円(税別)した。

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