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2004.12.20

〔五十海(いかるみ)〕の権平

『鬼平犯科帳』文庫巻1の[座頭と猿]のサブ・ストーリーに登場する凶悪な盗人。

年齢・容貌:記述がない。
生国:駿河(するが)国志太郡(したこおり)藤枝宿五十海(いかるみ)村(現・静岡県藤枝市五十海)

探索の発端:記述がない。いきなり捕縛される。

結末:一味の8名、品川の刑場で磔(はりつけ)---というから、 盗みにとどまらず、殺傷をおかしていたのだろう。

002

つぶやき:五十海村の村名の由来は、葉梨川と朝比奈川の分流と瀬戸川の分流の合流点にあたっており、増水期には、しばしば、怒ったように氾濫したからという。
凶悪な賊の「通り名」にふさわしいと池波さんはかんがえた。
が、いつ、どうして、この村名を知ったかは、不明。
若いころに、この地を取材して知ったのだろう。

藤沢駅から真北に町名として残っているが、それらにしいものが見あたらなかったので、バス停を写した。

池波さんは、藤枝に深い関心があった。
『仕掛人・藤枝梅安』シリーズのヒーロー、梅安も藤枝宿の生まれである。
東海道ぞいの神明宮の鳥居の脇に茂っていた榎の巨樹の下の桶職の家に生まれた---と書かれている。
幕府道中奉行製作『東海道分間延絵図』の藤枝宿には、たしかに、神明宮の鳥居のかたわらに、なにかの大樹があると記されている。
ルーペでたしかめたら、榎樹ではなく、銀杏とあった。

「五十海」についてのリポート
     SBS学苑パルシェ(静岡)〔鬼平〕クラス 杉山幸雄

 〔五十海(いかるみ)〕の権平

参考史料
『修訂駿河国新風土記』 国書刊行会
『藤枝市史 資料編3 近世』付録絵図
『郷土史料事典22 静岡県』人文社
『焼津・藤枝・島田・志太・榛原歴史散歩』 静岡新聞社
『第5回企画展藤枝大祭』藤枝市郷土博物館
『藤枝町史』
『ふるさと百科 藤枝事典』国書刊行会
『志太郡朝比奈村誌』
『静岡県勢要覧』県企画部高度情報総室

1401

藤枝宿は、慶長 6年(1601)関ヶ原の翌年、品川から22番目、東は岡部宿へ 1里26町(約6,839m)、西は島田宿へ 2里 8町(約8,874m)の宿場として設営された。
特徴は、志太・益津両郡内の8カ村が、親村に属しながら一部を宿場のたろ
めに割いて宿域をつくったことである。
8カ村の一……五十海(いかるみ)村の周辺は、古代には葉梨川と朝比奈川の分流、または瀬戸川の分流などが合流する地点なので、大雨のたびに氾濫したらしい。その氾濫する水のさまが「怒る水(いかるみ)」という地名となった。
近くの「押切」という地名も、川に押し切られて氾濫したことを物語っている。
微高地に鎮座する原木神社と八坂神社は、ともに葉梨川を鎮めることを願って祀られた。


ミク友の〔あい〕さんのりポート

こんばんは。祖父から返事を貰ったので、書きますね。

五十海は、藤枝の宿駅になく、助郷村でした。
藤枝町は、東海道沿いにある六ヶ村で、構成され、 町外の48村は定められた助郷村であり、参勤交代時や、
使節の上京時等、公用の人手が必要な時に領主から、 人や資材が駆り出されました。
助郷村でも、村内から採れる米は年貢米として 強制的に納められ、五十海村は検地の結果、 総高336石を割り当てられました。
助郷村の場合、村の収穫一石につき、二人6分9厘分を を負担しなければならなかったらしく、農民の負担は
相当大きかったようです。
なお、田中藩の46000石分の336石の米しか取れない字に等しい面積なので、広さは容易に想像できると思います、
とのことです。

とりあえず、五十海はよくある農村だったみたいです。

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コメント

「五十海」を(いかるみ)と読ませるのは、なぜかしら---と、ふしぎにおもっていました。
この「日録」で、初めて納得できました。
ありがとうございました。

投稿: 加代子 | 2004.12.25 05:28

いや、不思議なのは、なぜ、荒れる川すじに五十海という字をあてたか、です。

「ごじゅう」---「御入 ごにゅう」が濁ったのかな。つまは、津波にさらわれるとか、壇ノ浦の平家の女御のように入水するとか。

ゆっくり、調べてみます。

投稿: ちゅうすけ | 2004.12.30 16:37

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