こころに響くことば
月刊『PHP』(創刊60周年記念・2007年5月臨時増刊号)が贈られてきた。
60周年といえば、1947年(昭和22)---戦後3年目の創刊---いやあ、長寿も長寿、たいへんな長寿、あらためて、おめでとうございます。
この号は、表3に毎号1名ずつが寄せていた[こころに響くことば]を100人分、1冊にまとめたもの。
ぼくがご指名をうけたのは、肩書きが〔多摩美術大学講師〕となっているから、6年以上も前のこと。
まあ、8年3カ月たたないと100人にならない。
阿久 悠さん、塩川正十郎さん、金田正一さん、有馬稲子さん、今井通子さん、和田 勉さんらの名前が見えるから、各界を網羅しており、ぼくなんかが入ったのは、まさに僥倖(まぐれ)といえる。
ぼくのは、第二章◆人生を切り拓く に分類掲載されている。
「人間というやつ、遊びながらはたらく生きものさ。善事をおこないつつ、知らないうちに悪事をやってのける。悪事をはたらきつつ、知らず識(し)らずに善事をたのしむ」---池波正太郎『鬼平犯科帳』
[2-2 谷中・いろは茶屋]で、長谷川平蔵が同心・木村忠吾に吐くセリフで、『鬼平犯科帳』を通しての主題の一つでもある。
これを引いた理由として、ロンドンやパリで取材がおわるとホテルにこもって持参した本をひらいている。独り旅ならそれもいいか、連れは納得しない。鬼平の言葉を肝に銘じ、ほかの人の遊びぶりを観察するようにこころがけている、と自戒の弁を添えている。
ぼくの前は、日本医師会会長・坪井栄孝さん。
ならぬことはならぬものです
会津藩校日新館の「什(じゅう)の掟」から、「虚言(うそ)をいふ事はなりませぬ」「卑怯な振舞をしてはなりませぬ」「弱い者をいじめてはなりませぬ」などを引いていらっしゃる。
ぼくの次は、映画監督の羽仁 進さん。
私の学説が正しければ、ドイツ人は私をドイツ人と言い、フランス人は私をユダヤ人と言うであろう。私がまちがっていれば、ドイツ人は私をユダヤ人と言い、フラスン人は私をドイツ人と言うであろう。---アルバート・アインシュタイン
羽仁さんは、判断する前に、もう一度考え直してみたいと。
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「163『鬼平犯科帳』の名言」カテゴリの記事
- こころに響くことば(2007.04.04)
コメント
雑誌「PHP」がそんなに長寿の雑誌とは知りませんでした。
若い頃はなんとなく偽善的な匂いを感じて手にとることはありませんでした。
安保世代で読みもしないのに「朝日ジャーナル」なんかを手にしてました。
「鬼平」に出てくる平蔵に語らせる池波さんの言葉は味わいがあります。
投稿: 靖酔 | 2007.04.04 16:55
この雑誌は、職場単位で注文をとって、購読していたのを思い出しました。いろいろと教えられた内容の本でしたネ。
このころは、リーダーズダイジェストという雑誌も読んでいましたっけ。この雑誌まだあるのかしら。
投稿: 足立の山勝 | 2007.04.04 20:28
PHPは60周年ですか。そんなに息の長い雑誌だとは知りませんでした。
その雑誌の選ぶ100人に先生が入っていらっしゃるとは、これもまた知りませんでした。
前後の書き手も錚々たるメンバーですね。
投稿: 鬼平熱愛むらい | 2007.04.05 00:02
早速に本を購入して拝見しました。
100人の各界の名士がずらり、それぞれの方が名言を語って
ますが、やはり‘人間というやつは遊びながらはたらく生きものさ・・・・‘
この語りはいつ読んでも心にズンときます。好きですね。
投稿: 豊麻呂 | 2007.04.05 05:26
「PHP]は今まで存在は知ってましたが手にすることはありませんでした。
今回初めて読んでみました。
錚錚たる100人のメンバーの中に先生が、コピーライターの殿堂入りは、存じておりましたが、改めて偉大を実感いたしました。
>「人間というやつ、遊びながらはたらく生きものさ・・・・・・・・・・・・<は
さまざまのシーンに引用できる心に響く言葉ですね。
投稿: みやこのお豊 | 2007.04.05 08:12
PHPさんの書籍では歴史ものは良く読んでいますが、『PHP』は読んでいません。30~40年前でしょうか?『リーダーズダイジェスト』は読んだ記憶がありますが。
何かの機会に役に立ちそうなので早速、社のB1にある本屋さんに注文しました。
西尾先生の推薦文は人間の本質をついています。さすが池波正太郎ですね。
投稿: 大島の章 | 2007.04.05 09:09