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2012.06.18

各篇の年次順

池波さんは、当初、 『鬼平犯科帳』の連載を2年ていどで打ち切る予定にしていた。

その間に、在任中(足かけ8年前後)の物語を完結するつもりで年次を按配していたが、編集側や読者の強い要請で連載を引きのばすことになり、それまで書いたものの間を縫うように、新しい物語を補充していった。

これは、ひどく神経を使う作業であったことが、このリストからも読みとれる。
鬼平犯科帳』は、池波さんの代表作であるとともに、もっとも苦心を要した連載であったろう。

各物語の事件年次は以下のとおり。

●物語の年次

[1-1 唖の十蔵]      天明7年(1787)春から秋

[1-2 本所・桜屋敷]    天明8年(1788)小正月
[1-3 血頭の丹兵衛]    天明8年(1788) 10月
[4-3 密通]          天明8年(1788と明記)
                  11月末~12月

[4-4 血闘]          寛政元年(1789)早春
[4-5 あばたの新助]     寛政元年(1789)春~初夏
[5-3 女賊]          寛政元年(1789)初夏、梅雨
[1-4 浅草・御厩河岸]    寛政元年(1789)夏から秋
[1-5 老盗の夢]       寛政元年(1789)初夏から暮れ
[4-6 おみね徳次郎]     寛政元年(1789)夏から秋
[4-7 敵(かたき)]      寛政元年(1789)晩夏から晩秋
[4-8 夜鷹殺し]        寛政元年(1789) 9月から師走
[5-2 乞食坊主]       寛政元年(1789) 1 0月~12月
[5-1 深川・千鳥橋]     寛政元年(1789)秋から師走

[1-6 暗剣白梅香]      寛政2年(1790)初春
[5-4 おしゃべり源八]     寛政2年(1790) 2月
[1-7 座頭と猿]        寛政2年(1790)梅雨のあがった夏
[1-8 むかしの女]       寛政2年(1790)晩夏
[5-5 兇賊]           寛政2年(1790)秋
[5-7 鈍牛]           寛政2年(1790) 12月

[6-1 礼金二百両]      寛政3年(1791) 1月
[6-2 猫じゃらしの女]     寛政3年(1791) 1月~2月
[2-3 女梅摸お富]       寛政3年(1791)夏の陽ざし p97
[6-3 剣客]           寛政3年(1791)春


[6-4 狐火]           寛政3年(1791)夏         
[6-6 盗賊人相書]       寛政3年(1791)盛夏
[2-2 谷中・いろは茶屋]    寛政3年(1791)晩夏
[6-5 大川の隠居]       寛政3年(1791)初秋
[6-7 のっそり医者]       寛政3年(1791)初秋
[2-4 妖盗葵小僧]       寛政3年(1791)初秋から4年へ1年がかり
[7-1 雨乞い庄右衛門]     寛政3年(1791)秋
[2-5 密偵]            寛政3年(1791)初冬(12月) p 196

[7-2 隠居金七百両]      寛政4年(1792)正月~翌5 (1793)年夏 p41
[7-3 はさみ撃ち]        寛政4年(1792)初春 p75
[2-1 蛇の眼]           寛政4年(1792)の初夏村田銕太郎昌敷
                                  が寄場奉行
[7-4 掻堀のおけい]       寛政4年(1792)晩夏
[2-6 お雪の乳房]        寛政4年(1792)晩秋 p 237
[7-5 泥鱈の和助始末]     寛政4年(1792)秋・暮れ~正月 p144
[2-7 埋蔵金千両]        寛政4年(1792)末~5年の年初 p268


[7-6 寒月六間堀]        寛政5年(1793) 1月
[3-1 麻布ねずみ坂]       寛政5年(1793) 2月上旬
[7-7 盗賊婚礼]          寛政5年(1793) 2月                      
[7-7 用心棒]           寛政5年(1793) 2月
[3-2 盗法秘伝]          寛政5年(1793)春([女賊] p120 )
[3-3 艶婦の毒]          寛政5年(1793)春 p75
[3-4 兇剣]             寛政5年(1793)晩春 p161
[3-5 駿州宇津谷峠]       寛政5年(1793)初夏 p214
[3-6 むかしの男]         寛政5年(1793)初夏
[8-2 あきれた奴]         寛政5年(1793)梅雨~12月
[4-1 霧の七郎]          寛政5年(1793)梅雨の明けた夏
[8-3 明神の次郎吉]       寛政5年(1793)夏
[8-4 流星]             寛政5年(1793)7月 
[8-5 白と黒]            寛政5年(1793)晩夏
[4-2 五年目の客]         寛政5年(1793と明記)秋
[8-6 あきらめきれずに]      寛政5年(1793)秋
[8-6 雨引の文五郎]        寛政5年(1793)秋
[9-2 鯉肝のお里]         寛政5年(1793)晩秋
[9-3 泥亀(すっぽん)]      寛政5年(1793) 10月


[9-4 本門寺暮雪]        寛政6年(1794) 正月
[9-5 浅草・鳥越橋]        寛政6年(1794) 2月
[4-5 あぱたの新助]       寛政6年(1794)春~初夏
[9-6 白い粉]           寛政6年(1794)春の終わり
[9-7 狐雨]             寛政6年(1794)晩春

[10-1 犬神の権三]        寛政6年(1794)初夏
[10-2 蛙の長助]         寛政6年(1794)初夏
[10-3 追跡]            寛政6年(1794)初夏
[10-4 五月雨坊主]       寛政6年(1794)盛夏~翌年夏
[11-3 穴]              寛政6年(1794)夏の終わり
[10-5 むかしなじみ]        寛政6年(1794)秋      
[5-6 山吹屋お勝]         寛政6年(1794)秋
[10-6 消えた男]          不明
[10-7 お熊と茂平]         寛政6年(1794)秋
[11-1 男色一本儡鈍]       寛政6年(1794)秋
[11-2 土蜘蛛の金五郎]      寛政6年(1794)秋
[11-4 泣き味噌屋]         寛政6年(1794)秋
[11-5 密告]             寛政6年(1794)秋
[11-6 毒]              寛政6年(1794)師走
[11-7 雨隠れの鶴吉]       寛政6年(1794)秋から翌年正月

[12-1 いろおとこ]          寛政7年(1795) 2月
[12-2 高杉道場・三羽烏]     寛政7年(1795) 2月
[12-3 見張りの見張り]       寛政7年(1795)
[12-4 密偵たちの宴]        寛政7年(1795)春~10月
[12-5 二つの顔]          寛政7年(1795)花も散った春
[12-6 白蝮]             寛政7年(1795)晩春から夏

             ★この年の5月10日、平蔵病死(史実)

明日からの[おまさ誘拐]の事件は、寛政6年(1786)にはじまらないとつじつまがあわないことを、このリストでお確かめを。

文庫巻12からは平蔵の死後であることを池波さんも承知で書き進めている。

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