〔鹿川(しかがわ)〕の惣助
『鬼平犯科帳』文庫巻5に載っている[乞食坊主]こと、剣友・井関録之助に、南品川の貴船明神社(現・荏原神社 品川区北品川3-30-28)境内で盗めの会話を聞かれてしまった、〔古河(こが)〕の富五郎一味の盗人。2005.04.26にアップした〔寝牛(ねうし)〕の鍋蔵の相棒。
(参照: 〔寝牛〕の鍋蔵の項)
年齢・容姿:30男。痩せぎす。
生国:一応、上野(こうずけ)国新田郡(にったこうり)鹿川村(現・群馬県新田郡笠懸村鹿)としておく。
仮定としたのは、ここは(かのかわ)と読むからである。ちなみに、地名の由来は鹿の皮を製したことによると『角川地名大辞典』が記している。
ほかに、三河国幡豆郡(はずこうり)鹿川(ししかわ)村(現・愛知県幡豆郡鹿川)と安芸国佐伯郡(さえきこうり)鹿川(かのかわ)村(現・広島県佐伯郡能美町鹿川)があるが、いずれも池波さんのルビ(しかがわ)ではない。
で、〔古河(こが)〕の富五郎の「古河」にもっとも近いこと、若いころの池波さんがしばしば上野国を訪れていたことから、笠懸村の鹿川を採った。
探索の発端:、(〔寝牛〕の鍋蔵のものをコピー)。
品川の貴船明神社の床下で昼寝をしていた井関録之助に、〔寝牛(ねうし)〕の鍋蔵と〔鹿川(しかがわ)〕の惣助がかわした極秘の会話を聞かれた。
仕掛人を頼んで録之助を襲わせたが、なんと、その仕掛人が同門の菅野伊介だったことから、録之助は20年ぶりに長谷川平蔵を役宅へ訪ねることになった。
録之助の話から、火盗改メは、南品川2丁目に小さな小間物屋〔吉野屋〕をだしている〔寝牛〕の鍋蔵を見張りはじめた。
連絡(つなぎ)に現われる〔鹿川〕の惣助も見張られることとなった。
結末:襲った質店〔横倉屋〕で一網打尽。死罪であろう。
つぶやき:聖典で、質店が盗賊たちに狙われるのはこの篇だけだったようにおもう。もっとも多く襲われているのは薬種問屋だが、この業種の利益が大きいからではなく、池波さん愛用の『江戸買物独案内』にもっとも多くページをとって広告しているのが、家庭薬の広告なので、目にとまりやすかったのであろう。
ついでにいうと、質店は同書に1軒も広告を掲出していない。
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コメント
ちゅうすけ様
おひさしぶりでございます。
impression(感想文な日々)です。
お気に入りに「感想文な日々」を追加していただきありがとうございます。お礼かたがた参りました。(わたくしもこちらのblogをLINKさせていただきました)
ちなみにimpressiionは感想を単純に英訳するとmy impressionとなるのでつけたHNなのです。素敵なご想像をいただいたのですが・・・。
これからも頑張ってください。
投稿: impression | 2005.05.10 04:31
>impression さん
ようこそ。
お気に入りに、おあげいただけるとのこと、ありがとうございます。
blogとは別の、鬼平HPが12日の読売新聞の朝刊に紹介されるようなので、blogへのアクセスへも影響が波及すると思います。
ついでに、といってはなんですが、「お気に入り」の方へも効果がでますように。
また、おじゃまします。
投稿: ちゅうすけ | 2005.05.10 12:02