ちゅうすけのひとり言(64)
こころ覚えのために、辻達也さん『一橋徳川家文書適録考註百選』から天明元年(1781)5月某日の文書を書き写しておく。
文書番号四〇
天明元年(一七八一)五月、豊千代将軍養子として登城当日の儀につき、一橋家老より公儀への伺書及び側集指示の附札
(端裏書) 五月朔日上ケ、 同月八日下ル
主殿頭殿えも御評議相済、御附札被成、
御下ケ被成候様、越中守殿へ能登申候後、
御前御相上ル。
御当日登城之儀ニ付奉伺候書付 水谷但馬守
田沼能登守
豊千代殿登城ニ付、左(下)之趣奉伺候。
一、 登城御日限之儀、其以前御沙汰御座候御儀与相心得在候
(附札) 「各方迄、拙者共より御内意可申達候。」
一、 御当日御次第之儀御座候ハバ、品に寄り稽古可被致候ニ付、前広ニ相伺置候様ニ仕度奉有候
(附札) 「此ケ条相済」
一、 登城之儀、御風呂屋口より御表え登城之儀ニ御座候哉、御広敷え登城被致候儀ニ御座候哉・ (附札) 「御風呂屋口より御同道ニ而御登城可被成候」
一、 御当日、民部卿殿ニも登城之儀可有御座、左候得ハ、例・不時之登城之節之通、御書付等を以被仰渡御座候御儀与相心得罷在候。
(附札) 「御父子様御登城之儀、前日書付老中より達可有之候」
一、豊千代殿御当日登城之上、被仰出御座候ハバ、右(上)被仰出之趣承之、供方之者不残引払可申哉、且又砒其節乗物・馬・鑓・長刀・鋏箱・茶弁当等之類、是又一橋え引払候積り相心得罷在候。
(附札) 「差図有之、引取候心得可被有之候。御鑓・御長刀ハ少々差図遅ク可申候。何レニも是亦差図次第可被心得候」
一、豊千代殿登城供連、万端只今迄之通相心得罷在候。
(附札) 「此通り可被心得候」
一、右(上)被仰出候ニ付、民部卿殿御礼向之儀奉伺候。
(附札) 「分而御礼と申儀有之間敷候、御祝儀御取かわし之所、御一同之御方とハ違候儀も可有之哉、未難相知候。」
右(上)之通奉伺候、以上。
五月
【解説】一橋邸からの伺書第四条によると、御三卿といえども、登城するには、不時の場合は勿論、月例の登城であっても、前日老中からの指示を受けねばならなかった事が知られる。
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