〔関沢(せきざわ)の乙吉
『鬼平犯科帳』文庫巻9に所載の[泥亀]で、〔泥亀(すっぽん)〕の七蔵へ、〔牛尾(うしお)〕の太兵衛一家のその後の窮状を伝える役で登場。
(参照: 〔泥亀〕の七蔵の項)
(参照: 〔牛尾〕の太兵衛の項)
七蔵が、痔の治療に行くため、等覚寺(港区高輪 1- 5-24)の前で杖にすがって一休みしていたときに、上方でひとばたらきして家族の待つ故郷(くに)へ帰る〔関沢(せきざわ)〕の乙吉が通りかかり、七蔵を目にとめた。
乙吉は独りばたらきの錠前はずしの名手だが、10年ほどまえに〔牛尾〕の太兵衛を助(す)けたとき、七蔵と妙に気があった。そのとき以来の再会であった。
乙吉は七蔵に、〔牛尾〕の太兵衛が中風で亡くなったこと、一味がきれいに姿を消したこと、残された女房の目が不自由な娘が生活に難渋していることを伝えた。
年齢・容姿:中年。旅姿の商人風。力持ち。
生国:上野(こうづけ)国利根郡(とねこうり)下沼田村(現・群馬県沼田市下沼田村)。
「関沢村」でさがすと上州にはない。信濃国高井郡の関沢村か、越後国蒲原群郡関沢村の出生で、沼田に居をかまえたかともおもったが、「急いで故郷へ帰りてえのだ」とあるから、池波さんおなじみの沼田が、頭にあったと見た。それで、「下沼田村」とした。あるいは城下の鍛冶町あたりがふさわしかったかもしれない。
探索の発端:芝・新銭座の表御番医師・井上立泉邸へ、〔舟形(ふながた)の宗平爺つぁんの薬を貰いに行った帰り道の伊三次に会った乙吉は、誘われるままに〔小房〕の粂八が預かっている船宿〔鶴や〕に泊まることになった。
(参照: 伊三次の項)
(参照: 〔舟形の宗平の項)
(参照: 〔小房〕の粂八の項 )
結末:伊三次からの急報で、火盗改メが出張り、逮捕。
鬼平の心中では、島送りののち、密偵をすすめてみる気のよう。
つぶやき:乙吉を「見どころがある」と鬼平が認めたのは、第一に、家庭を大事にかんがえていること、第二に、義理がたいこと、第三に、3カ条を守っていること、あたりであろうか。
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