〔塩井(しおのい)〕の卯兵衛
『鬼平犯科帳』文庫巻18に収められている[蛇苺]は、〔沼目(ぬまめ)〕の太四郎(42歳)と「甞役」の〔針ヶ谷(はりがや)〕の宗助(44歳)、その女房で色好きのおさわ(30歳)を交えての、色情がらみの物語である。
老爺の〔塩井(しおのい)〕の卯兵衛が、上方と江戸を交互にあらしている〔沼目〕の太四郎とどこでからむかというと、太四郎が上方へ盗めているときの、浅草・阿倍川町の法成寺(豊島区駒込6丁目へ移転)の裏手の盗人宿を預かっているのが卯兵衛なのである。
(参照: 〔沼目〕の太四郎の項)
年齢・容姿:どちらも記述がない。
生国:大和(やまと)国宇陀郡(うだこうり)塩井村(現・奈良県宇陀郡曽爾(そに)村塩井)
塩井は山形県米沢市にもあるが、『旧高旧領』に記載されているのは上記のみ。
探索の発端:〔沼目(ぬまめ)〕の太四郎と〔針ヶ谷(はりがや)〕の宗助は、鬼平が亀戸天神の門前の料理店〔玉屋〕で鯉料理を食しての帰路、辻斬りに行きあわせたことから探索がはじまり、おさわも網にかかったが、塩井(しおのい)〕の卯兵衛の存在は、火盗改メも目こぼしてしまっている。
結末:したがって、この仁の結末は書かれていない。
つぶやき:脇役の中でも吹けばとぶような脇役---記述が1行しかない仁なので、扱いには手こずる。
話題を変えよう。『鬼平犯科帳』に登場する江戸とその近郊の寺院は208。うち、江戸期の火災や指令、維新と明治初年の排仏毀、つづく区画整理、大正の大震災、昭和の空襲などで移転した寺院は28---15%に近い。
それらの1寺ずつの経緯を調べることで、江戸の歴史への道が開ける。
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