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2005.10.19

〔唐戸(からと)〕の為八

『仕掛人・藤枝梅安』文庫巻3におさめられている[梅安流れ星]で、木挽町3丁目の料亭〔吉野屋〕の亭主・久蔵(47歳)をゆするために、その愛娘お梅(5歳)を誘拐した元盗賊で浪人の林又右衛門(37,8歳)は、お梅を、麻布の広尾に近い江戸における盗人宿へかくまった。
(参照: 〔浅羽〕の久蔵の項)
(参照: 浪人・林又右衛門の項)
3年前から盗人宿を預かっているのが、〔唐戸(からと)〕の為八である。

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年齢・容姿:老盗賊とのみで、詳細の記述はない。
生国:大和(やまと)国吉野郡(よしのこうり)唐戸村(現・奈良県吉野郡西吉野村唐戸)。
林又右衛門の働き場所が上方から西国とあるので、京都市南区上鳥羽唐戸町も、山口県下関市唐戸町も該当する。しかし、『旧高旧領』には上記2カ所が載っていない。それで、吉野の唐戸を採った。

事件の発端:品川宿の徒行(かち)新宿3丁目で水茶屋をやっている玉屋七兵衛が仕掛人の彦次郎に、浪人・林又右衛門の仕掛けを一度頼んだあと、取り消したことから、梅安と彦次郎が疑惑をもった。

結末:馬を使った仕掛けで、林又右衛門は殺された。また、仕掛けの依頼の作法に外れた玉屋七兵衛も、同様に2人によって始末された。

つぶやき:端役も端役だが、ちゃんと「通り名(呼び名)」がつけられているからには、生国を探さないわけにはいかない。
しかも、候補地が3カ所もあるのだ。とりわけ、まだ1人も登場していない山口県の県名を目にしたときには、ここに来い! と願った。
しかし今回もまたむなしかった。

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