道場主・大河内一平
『鬼平犯科帳』文庫巻3の[兇剣]で、秘密を小間使いのむすめ・およねに知られた〔高津(こうづ)〕の玄丹が、およねを連れている鬼平を襲撃のために集めた浪人者13名の頭目格なのが、道場主で一刀流の遣い手の大河内一平。
(参照: 〔高津〕の玄丹の項)
玄丹の援助をたっぷりとうけている道場は、大坂の北方・王仁塚(わにつか)にあり、妻子とともにそこで暮らしている。
年齢・容姿:40がらみ。大男。
生国:大和郡山(こおりやま)の浪人とあるから、大和(やまと)国添下郡(そえかみこおり)郡山(現・奈良県大和郡山市本町)。
襲撃の顛末:うまく鬼平とおよねをしとめれば100両と玄丹からいわれた大河内は、浪人たちを率いて歌姫越えをして奈良へ入った。
奈良を出た柳本の半里手前で鬼平たちの姿を目にした一隊は、斬りかかったが、たちまち3人が鬼平に斬りふせられた。
大河内一平の剣が、疲れを見せた鬼平の脇腹を浅くえぐった。さらに頭上へ剛刀を振り下ろそうとしたとき、その背中に小刀が突きささっていた。岸井左馬之助が助太刀にあらわれたのである。
つぶやき:商都大坂で、玄丹の援助を受けている大河内一平と、その庇護下にある身なりも血色もいい一隊はともかくとして、そうでない浪人たちは何をして収入を得ていたろう。商家の用心棒だったろうか。
大河内にしても、道場主としての収入はほとんどなかったのではあるまいか。
浪人たちには生きにくい街であったろう。
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コメント
疲れを見せているとはいえ、鬼平に傷を負わせるほどの腕があるのは、日頃剣の鍛錬だけはかかせなかったのでしょうか。
投稿: みやこのお豊 | 2006.03.22 17:27