浪人・林又右衛門
『仕掛人・藤枝梅安』文庫巻3におさめられている[梅安流れ星]で、木挽町3丁目の料亭〔吉野屋〕の亭主・久蔵(47歳)をゆする、浪人・林又右衛門は、市ヶ谷の大崎道場の後継者争いで3人を惨殺して上方へ逐電し、〔吉野屋〕久蔵こと、盗賊〔浅羽(あさば)〕の久蔵一味に加わっていた。
久蔵の正体をばらすとおどし、その愛娘お梅(5歳)を誘拐し、〔唐戸(からと)〕の為八が番をしている麻布・広尾に近い盗人宿へかくまった。
(参照: 〔浅羽〕の久蔵の項)
(参照: 〔唐戸〕の為八の項)
年齢・容姿:37,8歳。人品はいい。贅沢な身なり。
生国:市ヶ谷の大崎伝左衛門の道場を継げるほどに鵜では熟達したが、同門の争いにまきこまれて上方へ走ったというから、とりあえず、江戸生まれの浪人ということにしておこう。
現在の住まいは、京橋筋の鈴木町。
事件の発端:品川宿の徒行(かち)新宿3丁目で水茶屋をやっている玉屋七兵衛が仕掛人の彦次郎に、浪人・林又右衛門の仕掛けを一度頼んだあと、取り消したことから、梅安と彦次郎が疑惑をもった。
結末:馬を使った仕掛けで、林又右衛門は殺された。また、仕掛けの依頼の作法に外れた玉屋七兵衛も、同様に2人によって始末された。
つぶやき:(〔浅羽〕の久蔵の項に記したものの再録)林又右衛門iによる誘拐と恐喝、さにらは請け負っている小杉十五郎の抹殺、〔玉屋〕七兵衛が仕掛けてくる彦次郎の始末---と、ストーリーは込み入っているが、さすが、池波さんは巧みな筋はこびで、読み手をみちびく。
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