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2011.01.05

おみねに似たおんな(3)

その夜---御厩(おうまや)河岸から1丁半ほど西へ入った、正覚寺(俗称・框(かや)寺門前のしもた家の、松造(まつぞう 29歳)とお(くめ 39歳)の寝間。

_160寝巻きに着替えたおが、隣室のお(つう 12歳)と善太(ぜんた 10歳)の寝相をたしかめ、暑いために上布団をはね飛ばしていたのを、腹から足元へかけなおし、そっと松蔵の隣に伏せた。

待っていたように、寝巻きのすそを割り、肉置(ししお)き豊かな尻部(でんぶ)をかかえ、太腿を割りこませた。
「2人とも、よく眠ってた」
耳元でささやき、腰紐を抜き、前をはだけた。

乳頭が吸われた。
松造の頭を抱き、
「お千世(ちよ)さんと長谷川の殿さまと、どういうあいだがらだろう?」
唇をはなし、
「おれが若(銕三郎 てつさぶろう 26歳=当時)の下僕見習いになったのは9年前、20歳(はたち)のときだ。以来、お千世 19歳)らしいおんなに出会ったこといない」

また、乳首を舌先でなぶりはじめた。
「9年よりもっと前だと、ご内室をおもらいになる前---? ああ、お前さん---こんなに堅くなってる」
「お前だって、あふれてきてるぜ。ほら---」

「お千世さん、19歳とかいってたね? 9年よりもっと前というと、8つか9つか、もっと幼なかったってことに---ちょっと待って---はさみ紙、忘れてなかった? あった、あった---大丈夫」

「だから、これは艶ごと抜き---ってことは、カギの手かかわり---」
「なにさ、カギの手って?」
「これ、さ」

「あっ、指。その指じゃなく、いつもの中指で---お前さんの中指は別あつらえなんだから---」
「それをいうなって---むかしの仕事がバレる」
「でも、わたしには、願ってない指如来さま---」

「先だって、殿のいいつけで、芝の新銭座にお屋敷がある、表ご番医の井上立泉(りゅうせん)先生へ、写本をお借りしにいったとおもいな」
「なんの本---?」---
「おれが盗み読みするぐらいの本といえば、おもいあたるだろう---」
「うん---」
「唐の国の将軍さまが、寝間でしていることの---今夜はその1だ」
「え---?」
「背中をおれの顔のほうにむけ、尻をおれのものにのっけろ」
「こうかい---あっ、いつもとちがうとこへ---うっ」


「-------」
゛-------うっ」
「お前さん。ちょっと、汗を拭かせて---お前さんも、びっしょりだよ---ほら、わたしの掌がこんなに---」


「-------うぅー」
゛-------ふぅー」

横にならんで目を閉じ、いたわるように柔らかく相互に まさぐりねねあいながら、
「お。殿は、くれぐれも念をおされた。〔染翰堂(せんかんどう)・吉沢〕の内儀には、お千世(ちよ 19歳)のことを訊いていると悟られないように、店で使われている者全部の性格を、善太に教えるために訊いているのだとおもわせろ」


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コメント

『房内編』の影響が松造お粂夫妻にまで及びましたか。
うちでも実践してみようかな。

投稿: tsuuko | 2011.01.05 09:28

>tsuuko さん
あれは平安時代に渡来した書物ですから、十二単衣を召し、おもむろに寝衣に着替える形だと気分がたかまるかも(笑)。

投稿: ちゅうすけ | 2011.01.05 09:35

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