〔松倉(まつくら)〕の清吉
『鬼平犯科帳』文庫巻12に収録の[いろおとこ]で、盗人の首領・〔鹿熊(かぐま)〕の音蔵が、尾行してきた火盗改メ方の同心・寺田又太郎を中目黒の竹藪で殺害したとき、配下の〔松倉(まつくら)〕の清吉が先まわりをして手配りを万端整えた。
(参照): 〔鹿熊〕の音蔵の項
姪の女賊おせつが寺田同心と割りない仲になっているのを知った〔山市〕の市兵衛が、別れさせるために差したのである。
(参照: 女賊おせつの項)
(参照: 〔山市〕の市兵衛の項)
年齢・容姿:どちらも記述されていないが、30がらみか。
生国:越中(えっちゅう)国新川郡(にいかわこおり)松倉村(現・冨山県中新川郡立山町松倉)。
明治20年ごろの松倉村
首領の〔鹿熊〕の音蔵も、同じ新川郡松倉村でもさらに山間に入った「鹿熊」の出だから、清吉も松倉村字(あざ)虫谷あたりかも。地縁の妙---というか、池波さんが「してやったり」とほくそえんでいる「通り名(呼び名)」の選定ではある。
探索の発端:非番の夜、〔五鉄〕で飲んでいた同心・寺田金三郎に不審を感じた彦十が尾行(つ)けていくと、四ッ目の居酒屋〔山市〕へ入り、やがて、女賊おせつが殺され、金三郎も重傷を負った。
彦十たちが居座って、市兵衛を捕縛したことで、事件の裏が判明した。
結末:〔鹿熊〕一味の九名は清吉ともとども、南品川の盗人宿・質商・栄左衛門方で捕縛された。五十両で金三郎の殺害を請け負っていた浪人・矢島孫九郎はいずこへか逃亡。
つぶやき:池波さんの関心が、立山周辺にあることは、文庫巻7[泥鰌(どじょう)〕の和助もこの地の出であることからも推測できる。
(参照: 〔泥鰌〕の和助の項)
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