« 『鬼平犯科帳』の1両の換算率 | トップページ | 〔壷屋〕 »

2006.10.21

1両の換算率

[『鬼平犯科帳』の1両の換算率]に、池波さんは、シリーズの終わりごろには、1両を20万円と換算していた---と書いた。
その根拠については、まったく触れていない
たぶん、体感的というか、使いでがその根拠だったようにおもえる。

_130小川恭一さんに『お旗本の家計事情と暮らしの知恵』(つくばね舎 1999.7.15)がある。小川さんは、三田村鳶魚に師事した方だから、ぼくなんか足元にもよれないほどの史料をこなされている。
で、同著書で、1両を10万円と換算すれば、まず、間違いなかろうとしている。
池波さんの1/2。これは、あまりに違いすぎる。
長谷川家の家禄400石でみると違いがよくわかる。
1石を1両の実収とみなすのは常識だから、現在の収入になおすと、池波説では8000万円、小川説だと4000万円。

100_2佐藤雅美さんは、江戸期の経済小説の第一人者といっていい。初期(1980年代)の作品に『主殿の税 田沼意次』(講談社文庫 絶版)がある。
最近、学陽書房の[人物文庫]の1冊として復刻された。タイトルは文庫シリーズにふさわしく『田沼意次 主殿の税』(2003.5.20)と逆になっているが。
この小説で、佐藤さんは1両を20万円に換算している。

どちらがどうとは、ぼくにはいえない。
もし、ほかの人の換算率を目にされたら、教えていただきたい。

|

« 『鬼平犯科帳』の1両の換算率 | トップページ | 〔壷屋〕 »

162小説まわりの脇役」カテゴリの記事

コメント

二八そばが16文。現在の立ち食いそばは300円から400円とすると1両は75,000円~100,000円となります。ちょっと落語的換算?けっして落語を馬鹿にしているのではありません。

投稿: 大島の章 | 2006.10.21 18:04

いろんな物価を元にして換算しているようです。
まず、米ですが、米で支給された武士社会の米経済を守るために、米価はいまの1.5倍くらいしていたようです。

そのほか、流通コストも、鉄道や自動車がなかったから高めだった。
その分、人件費がいまのチャイナなみに安かった。原稿料や印税なんて、ないに等しかったようです。

投稿: ちゅうすけ | 2006.10.21 19:00

江戸東京博物館の学芸員の講座の資料より
1両は現在のお金でいくら?

換算法1.地銀を媒介にした場合
純銀1グラム=約49円(H18.9.29現在)
金1両=銀60匁=225グラム=11025円

換算法2.蕎麦を媒介にした場合
「あじさい茶屋」(JR駅蕎麦)
かけ蕎麦1杯240円=16文
1両=4000文=6万円
1両=6000文=9万円

換算法3.人件費を媒介にした場合
江戸大工見習の日当=銀2匁から3匁
現在の大工見習=8000円から12000円
銀1匁=4000円
金1両=60匁=24万円

こんなのがありました。

投稿: 秋山太兵衛 | 2006.11.08 22:27

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 『鬼平犯科帳』の1両の換算率 | トップページ | 〔壷屋〕 »