田沼意次の4重要政策(その1)
中部圏の某女子大の英語関連の教授を定年した旧友I君が、〔愛知年金者大学〕で講じている江戸史の講座のテキストを送ってくれた。
[田沼時代の経済政策---石谷清昌の役割について---]と題されている。
じつをいうと、春にクラス会での会食前の雑談で、長谷川平蔵を引きたてた田沼老中の件から、話が故・大石慎三郎先生『田沼意次の時代』(岩波現代文庫 2001.6.15 1000円+税)におよんだ。
〔( )内は、つい最近、鬼平熱愛倶楽部の大島の章さんと亀戸のおKさんに教わった。ぼくが所有しているのは単行本のほうで、そちらは文庫化の10年前に刊行され、2,400円)。
I君のテキストの冒頭のほうに、、大石先生の前掲書が、田沼時代の重要政策として、
1.年貢増徴ではなく流通課税による財政再建
2.通貨の一元化
3.蝦夷地の調査と開発
4.印旛沼の干拓
をあげていると。
おととい(11月19日)、中井信彦さんの論述から、田沼期の経済政策として12事例があげられていると転記したが、ダブっている項目にしぼって、中井説を紹介したい。
7.御用金の徴募
幕府は宝暦11年(1761)に、初めて大坂町人205人から70万
両の御用金を徴し、大坂3郷の町々へ貸し付けた。米価調節と
金づまりの緩和のためであった。
8.株仲間の結成
冥加金の上納と引き換えに、数多くの株仲間が認可された。
株仲間の1例として、塗物問屋---塗物とは漆器のこと---が、十組のメンバーであることを明記した『江戸買物独案内』を掲示しておく。
文政7年(1824)刊
要するに、卸商行為の独占体制に対する営業税とおもえばいい。それまで農家の稲作を主たる税の対象にしていたのを、流通の隆盛にも目をむけ、収税の対象としたのである。
この着眼は、為政者側からすると、すばらしい。
運上金は以後、いろんな名目で株仲間へ割り当てられた。
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