葵小僧の展開(1)
[2-4 妖盗葵小僧]のネタ元が、三田村鳶魚 『泥坊づくし』(河出文庫[鳶魚江戸ばなし]シリーズ・その1 1988.3.4にあたる )[五人小僧 槍を持たせた葵小僧]らしいことは、2006年11月28日の[葵小僧の発見]に紹介した。
ぜひ、ご再読いただきたい。
池波さんが『泥坊づくし』を読んだのは、1952年の刊行された青蛙房版ではなかろうかと推測するのは、鬼平熱愛倶楽部の相州・藤沢宿の秋山太兵衛さん。たぶん、長谷川伸師邸の書庫にあったものであろう。
それをもとに、『週刊新潮』(1964.1.6)]に42枚ほどの作品[江戸怪盗記]に仕上げて発表。
池波さんは、長谷川門下生ではあったが、吉川英治さんにも私淑していた。とりわけ、直木賞受賞作[錯乱]の吉川さんの審査評が肝に銘じていたとおもわれる。
せっかくのネタを、才走って小器用にまとめないで、じっくり熟成させよ---との趣旨の言葉であった。
『鬼平犯科帳』が読者にも『オール讀物』の編集部にも好評に迎えられたとき、池波さんは[江戸怪盗記]をもう一度、熟成させたいとおもったにちがいない。
[江戸怪盗記]のときには、長谷川平蔵という人物も熟成していなかった。
それで、森下文化センターの鬼平熱愛倶楽部の教室で、池波さんの物語のふくらませ方を、何チームかに発表してもらった。
数日にわたってその発表記録を紹介する。
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