〔橋本(はしもと)〕の万造
『鬼平犯科帳』文庫巻12に収められている[見張りの見張り]で、息子・佐太郎の消息を探していた〔長久保(ながくぼ)〕の佐助へ、日光街道・草加宿の旅籠の風呂場でばったり出会ったとき、女出入りから佐太郎を殺したのは〔万福寺(まんふくじ)〕の長右衛門一味にいた〔杉谷(すぎたに)〕の虎吉だ、と嘘を告げた盗人。
(参照: 〔長久保〕の佐助の項)
(参照: 〔万福寺〕の長右衛門の項 )
年齢・容姿:明記はされていないが、佐太郎より5つ6つ年長とあるから、32、3ってところか。容姿の記述はない。
生国:一味としていた」〔万福寺〕の長右衛門の生国を宇治、と推定したので、山城(やましろ)国綴喜郡(つづきこうり)橋本村(現・京都府八幡市橋本)。
男山南麓に位置する、淀川ぞいの渡船場。
探索の発端:〔長久保(ながくぼ)〕の佐助が、〔蓑火(みのひ)〕の喜之助の下でいっしょだった〔舟形(ふながた)〕の宗平へ、〔橋本(はしもと)〕の万造から聞いた息子・佐太郎の殺害の顛末を打ち明けたことから、密偵〔大滝(おおたき)〕の五郎蔵がうごきははじめた。
(参照: 〔蓑火〕の喜之助の項)
(参照: 〔大滝〕の五郎蔵の項)
[杉谷(すぎたに)〕の虎吉は、かつて〔大滝〕一味にいたことがあり、女房がやっている品川宿の小さな蝋燭屋を五郎蔵が知っていた。
結末:〔大滝〕の五郎蔵に捕縛された〔杉谷〕の虎吉は、火盗改メの白州で[長久保]の佐助と対決し、佐太郎殺しのほんとうの下手人は〔橋本(はしもと)〕の万造、と告げた。
もっとも万造は、シリーズ終焉までに捕まった形跡はない。不得要領といえないこともない扱いである。
つぶやき:武家社会では、親が子の仇を討つことは違法とされている。世間の裏で生きている違法の盗人世界では、違法の違法は正法になるのかな(冗談)。
子の敵討ちであめろうと、敵討ちは人情の根本みたいなものだから、話としてはおもしろい。
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