〔伊賀(いが)〕の音五郎
『鬼平犯科帳』文庫巻1に収録されている[老盗の夢]に、ほんの2,3行だけでてくる盗賊で、当人よりも女房のお千代のほうが、巨盗〔蓑火(みのひ)〕の喜之助とより深いかかわりがある。
(参照: 〔蓑火)〕の喜之助の項)
池波さんの常套句をつかわせてもらうと、「なぜといいねえ」、〔伊賀(いが)〕の音五郎は捕えられ、大坂・千日前の刑場で火刑に処せられた---とあるだけだが、そのあと、寡婦となったお千代が、夫が生前にお世話になった礼をいいに京の〔蓑火(みのひ)〕のところへ行くと、彼女の巨躯にひと目で惚れこんだ喜之助が情を通じてしまった。
そのお千代も逝って20年になり、〔蓑火〕の喜之助も67歳。
年齢・容姿:どちらも記述がない。
生国:河内(かわち)国丹南郡(たんなんこうり)伊賀村(現・大阪府羽曳野市伊賀)
三河国額田郡と、陸前国志田郡の伊賀村もかんがえたが、テリトリーが京・大坂あたりということで、羽曳野市の伊賀を採った。額田郡伊賀村(岡崎市)の出身なら大坂へより名古屋か江戸のほうへくだるであろう。
探索の発端:記述されていない。
結末:前述したとおり、盗みのために放火でもしたのか、火あぶりの刑。
つぶやき:畳の上で往生できるはずの本格派の巨盗〔蓑火(みのひ)〕の喜之助であっても、好みの女のために身を滅ぼす---というより、晩年、男の証しをよみがえらせてくれた相手は、なにものにもかえがたいらしい。
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