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2006.01.03

〔七化(ななば)け〕お千代

『雲霧仁左衛門』(文庫 前・後編)の主人公の巨盗・雲霧仁左衛門の愛人とも引き込み女ともいえるのが、この〔七化(ななば)け〕お千代である。
(参照: 雲霧仁左衛門の項)
どんな女性(にょしょう)にも扮することができ、それで引き込みを成功させるので冠された〔七化け〕の「通り名(呼び名)」である。池波さんの頭脳に、長谷川一夫さんが演じた映画『雪之丞七変化』の題名が閃いたかどうか。
この篇の前半では、さるやんごとなきお方の落としタネで、尼僧すがたをしているが、熟しきった女躰が男を求めるという設定で、仁左衛門が狙っている名古屋の薬種問屋〔松屋〕吉兵衛をたらしこむ。その手際は、読んでいて、ぞくぞくしてくくるほど艶っぽい。

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年齢・容姿:26,7歳。美人。熟しきって蒼みがかった柔肌。臀部はおどろくほどの豊満さ。
生国:京都生まれと推察。

探索の発端:名古屋・上本町の薬種問屋〔好蘭堂 松屋〕の当主・吉兵衛(52歳)とお千代の寝室へ押し込んできた雲霧仁左衛門一味は、金5000余両とともに、お千代を連れ去った。
雲霧仁左衛門の探索に名古屋へきていた火盗改メ方同心・高瀬俵太郎が、不審の念にとらわれる。

結末:雲霧仁左衛門一味の盗人宿の、王子稲荷社門前の茶店へ踏み込んだ火盗改メが目にしたのは、もぬけの殻の家屋だった。仁左衛門はお千代に、京都で2人きりで暮らすと約していたが---。

つぶやき:池波さんの小説にあらわれる女性のうちで、もっとも池波さんの好みに合っているのは、この〔七化け〕のお千代のような気がする。
体形は着痩せして見えるが、脱ぐと豊満というに近い。肌は白いのをとおりこして蒼くすら感じられる。どんな境遇の女性にもなりきれるだけの演技力がある。それでいて、男にすがっているように見せて、男を立てることのできる---女性である。

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コメント

ずいぶん魅力的なお千代さん。

文庫「雲霧仁左衛門」所持していないので、
これから買い求めてきます。

そして池波さん好みのお千代さんをゆっく解析いたします。

投稿: みやこのお豊 | 2006.01.03 15:14

>みやこのお豊さん

京都・八坂神社門前の茶店のお豊さんも、中年になつても、なお、木村忠吾を手玉にとるほど魅力の持ち主です。

でも、〔七化け〕お千代には、若さと品と靭さがありますね。
雲霧仁左衛門が手放さないのも、至極当然かもな。

投稿: ちゅうすけ | 2006.01.04 16:11

近くの書店に「雲霧仁左衛門」なかったので、
まだ「七化け」のお千代さん解析できません。

お豊さんも若さには勝てませんわね。
雲霧仁左衛門は45,6歳 中肉中背、隆い鼻筋、切れ長の両眼 凄い男っぷりですね。

「雲霧仁左衛門」の代わりに「闇は知っている」を購入してきました。

香具師の元締めが何人もでてきます。
そのうちにこのブログに登場してくるかもしれませんね。

投稿: みやこのお豊 | 2006.01.04 20:34

こんばんは。こちらではご無沙汰でございました。

本エントリを拝見して、「雲霧仁左衛門」(映画版'78)を見てみ
ました。岩下志麻さんの演技がスゴイ。丹波哲郎演じる「松屋」
をたらしこむところが…、お子ちゃまには危険?です。

それから俳優陣が豪華ですね。丁度享保期なので、加藤剛さん
の大久保佐渡守は、ん?大岡越前?と思います…。

式部と仁左衛門の生き様は凄まじいのですが、最終的に
安倍式部の器量は大きいと感じました。
許すもの(式部)と許さぬもの(仁左衛門)の対比が見事。

映画を観つつ、頷いてバカリでした。

鬼平以外にも、池波さんの作品は面白いものが多いですね。
こちらのブログも、少しずつエントリ拝見して行きます。ではまた。

投稿: えいねん | 2008.09.30 19:10

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