研師(とぎし)〔笹屋〕弥右衛門
『鬼平犯科帳』文庫巻8に収められている篇の中では中篇に近い[流星]で、大坂の巨盗〔生駒(いこま)〕の仙右衛門(62歳)の息のかかっている浪人剣客・沖源蔵を止宿させていた、京都の油小路二条下ルで弟子1人をつかって刀剣の研師(とぎし)をしているのが、〔笹屋〕弥右衛門。
(参照: 浪人刺客・沖源蔵の項)
(参照: 〔生駒〕の仙右衛門の項)
沖浪人は、仙右衛門から呼び出しがきて、大坂へ旅立っていく。
いずれ、ここも、仙右衛門の盗人などのひとつであろう。
年齢・容姿:老人とのみ。黙々と仕事をこなしている。近所の人ともほとんど口を利かない。研師のような職種にはよくいる変人。
生国:長い修行の末の開業であろう。地元の京都の生まれと推察。
登場の経緯:それにしても、沖浪人を京都からわざわざ大坂へ呼び出し、その足で江戸へ発たした。ふつうなら、京都から発たしちほうが、無駄がない。
池波さんは、〔生駒〕の仙右衛門が沖源蔵を京都での用心棒として配置していた周到さを示したかったのであろうか。
つぶやき:それとも、研師という職業に執心していたか。司馬遼太郎さんの直木賞受賞作『梟の城』だったかにも研師がでてーいたような。司馬さんと仲のよかった池波さんのこと、生来の負けずぎらい気から、研師を登場させてみたくなったのかも。
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