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2005.08.05

〔生駒(いこま)〕の仙右衛門

『鬼平犯科帳』文庫巻7に収められている[掻掘のおけい]で、男なら木村忠吾ならずとも好きごころをそそられる女賊、〔掻掘(かいぼり)〕のおけいの後ろ盾といわれている大坂が本拠の巨盗〔生駒(いこま)〕の仙右衛門。ただし、この篇ではご本尊はまだ江戸には姿を見せない。下府してきているのは配下のみ。
(参照: 〔掻掘〕のおけいの項)
大坂では、表向きは心斎橋・北詰に〔山家(やまが)屋〕という屋号をかかげているもぐさ問屋の主人。
次の2編でも、火盗改メとかかわる。
巻8[あきれた奴]で〔鹿留(しかとめ)〕の又八をだますようにして引き込んだ〔雨畑(あまばた)の紋三郎は、かつて〔生駒〕の下にいた。
(参照: 〔鹿留〕の又八の項)
(参照: 〔雨畑〕の紋三郎の項)
また、同じ巻8[流星]で、腕の立つ浪人2人を江戸へさしむけて鬼平の眼を撹乱させようとしたのも、〔生駒〕の仙右衛門である。

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年齢・容姿:62歳。小肥りの躰。品のよい白髪頭。あざやかな血色。
生国:大和(やまと)国平群郡(へぐりこうり)信貴畑(しぎはた)村(現・奈良県生駒郡平群町信貴畑)
大坂の生駒町も考えたが、奈良県側の生駒山地あたりから大坂へやってきて、裏の世界でのしあがった男と見たほうが大物らしいとかんがえただけのことである。

探索の発端:この篇では、探索の手は、大坂にいる本人にはまだ及んではこない。

結末:したがって、捕縛されたのは、実行犯の〔和尚(おしょう)〕の半平一味と、手引きをした〔掻掘(かいぼり)〕のおけいである。
(参照: 〔和尚〕の半平の項)

つぶやき:妖艶な〔掻掘(かいぼり)〕を、後ろ盾の巨盗〔生駒(いこま)〕の仙右衛門はつまんだろうか---などと想像するのは、下司(げす)の勘ぐりというもの。
盗賊団のお頭は、腕力と資力と統率力が売りものの猿山のボス猿とおなじで、すべては意のままである。とともに、完全庇護のつとめもはたさないといけない。
まあ、62歳だし、血圧も高めのようだから、おけいとのことは、むかしのことと見ておこう。

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コメント

毎日、このブログのせいで睡眠不足です。

疲れた時、いらいらする時、鬼平のビデオをみたり、持ち歩いている文庫本を読んだりしていますが、もし、盗人の人名録(?)犯科帳人名インデックスがあればいいなあ、と、おもっています。

投稿: 那の津のお加代 | 2005.08.06 15:44

>那の津のお加代さん

お初です。
いつも、この陋屋をお訪ねくださっているようで、ありがとうございます。

まあ、1日分は、5分で読め、10分考察すればよいようにしているつもりですが、10倍も12倍もご考察なさるみたいですね。

どうか、適当に。

名鑑ですが、まとまったら、つくるつもりです。

こんごとも、いろいろご教示ください。

投稿: ちゅうすけ | 2005.08.08 15:34

名鑑、わがままな希望で、お許しください。


     おっぺこと那の津のお加代

投稿: 那の津のお加代 | 2005.08.10 12:34

>那の津のお加代さん

いや、こころづよい助っ人の到来。
よころんでおりますです。

どんどん、書き込んでください。

投稿: ちゅうすけ | 2005.08.11 08:05

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