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2005.07.27

〔和尚(おしょう)〕の半平

『鬼平犯科帳』文庫巻7に置かれている女賊の[掻掘のおけい]の篇で、おけい(40をこえている)と組んで、荒っぽい盗めもいとわない一味の首領が〔和尚(おしょう)〕の半平である。
(参照: 〔掻掘〕のおけいの項)
おけいの若いツバメ〔砂井(すない)〕の鶴吉(26,7歳)は、「和尚のお頭とだけは組まないでくれ」と頼むが、〔掻掘(かいほり)〕のおけいは、委細かまわず、日本橋・富沢町の紅・白粉問屋〔玉屋〕茂兵衛方への押しいりの計画を、〔和尚〕一味とすすめている。
(参照: 〔砂井〕の鶴吉の項)

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年齢・容姿:記述がない。
生国:常陸(ひたち)国多賀郡(たがこうり)関本村(現・茨城県北茨城市関本町小川)
関本町の北西に標高804メートルの和尚山(おしょうざん)がある。半平は自分を大きく見せるためにこの山名を「通り名(呼び名)」にいただいたとみた。
別に、僧籍から還俗したとの見方もできないではない。だとすると、貧ゆえに寺へやられたのであろう。

探索の発端:〔砂井(すない)〕の鶴吉が、かつてのお頭〔大滝〕の五郎蔵に声をかけたことから、五郎蔵が〔掻掘(すなぼり)〕のおけいを尾行(つ)けて、〔和尚〕一味の十万坪にある盗人宿を突きとめた。
(参照: 〔大滝〕の五郎蔵の項)

結末:富沢町の〔玉屋〕方への押しいろうとしていた、〔和尚〕一味11名は、追跡していた火盗改メに捕縛された。〔和尚〕の半平は鬼平に斬られて死んだ。
〔掻掘(かいぼり)〕のおけいは、市中引きまわしの上、死罪。

つぶやき:。〔和尚〕の半平と〔掻掘(かいぼり)〕のおけいとのつながりが、も一つ、はっきりしない。男と女の関係があったともおもえない。
はっきりしないといえば、〔生駒(いこま)〕の仙右衛門とおけいのつながりもよくわからない。
(参照: 〔生駒〕の仙右衛門の項)
拷問にも、おけいは、〔生駒〕一味のことを吐かなかった。それほどに義理立てしなければならない理由があったのであろうか。小説はそのあたりをぼかしている。

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コメント

この篇にはいくつものテーマが感じられます。
勿論盗人としても女としても魅力いっぱいの「女賊」おけいが主題ですが、

「生駒の仙右衛門」とのつながり、
「舟形の宗平」とおけいとの出会いの頃
「五郎蔵」と砂井の鶴吉、鶴吉の秘密の経緯
「和尚の半兵衛」との関係

どれも余韻を残した表現で、それで・・・?と詳しくききたくなるようで、一つ一つが話として成立しそうな感じです。

投稿: みやこのお豊 | 2005.07.27 19:42

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