〔古河(こが)〕の富五郎
『鬼平犯科帳』文庫巻5に載っている[乞食坊主]こと、剣友・井関録之助に、南品川の貴船明神社(現・荏原神社 品川区北品川3-30-28)境内で盗めの会話を聞かれてしまった〔寝牛(ねうし)〕の鍋蔵と〔鹿川(しかがわ)〕の惣助は、ともに〔古河(こが)〕の富五郎一味の盗人である。
(参照: 〔寝牛〕の鍋蔵の項 )
(参照: 〔鹿川〕の惣助の項)
年齢・容姿:どちらも記載がない。
生国:下総(しもうさ)国葛飾郡(かつしかこうり)古河(こが)宿(現・茨城県古河市古河)
地名は、未開地を意味する空閑(くが)の転訛と。
探索の発端:冒頭に記したように、井関録之助が聞いたのがきっかけだが、鬼平の申しつけで、録之助は武士に変装して品川宿をさぐっているうちに、〔寝牛〕の鍋蔵が3年前からひらいている小間物屋を見つけた。隣の質屋〔横倉屋〕が押し入り先とわかり、見張り所が設けられた。
品川駅 (『江戸名所図会』より 塗り絵師:ちゅうすけ)
結末:黒づくめの装いに身をかためた〔古河〕一味15名があらわれたのを、火盗改メの与力・同心・小者17名がとりかこみ、宿役人なども手伝って、全員捕縛。
つぶやき:連載3年目の第31話である。池波さんの筆づかいにも油がのった時期。枝葉の話にもきちんと説明がついている。
たとえば、井関録之助を消すために、両国の香具師の元締〔羽沢(はねざわ)〕の嘉兵衛に仕掛けを頼むなど。
(参照: 〔羽沢〕の嘉兵衛の項)
が、〔古河(こが)〕の富五郎の描写の手を抜いているようにおもえるのは、原稿枚数の制限を気にしてか。
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