仏具屋〔今津屋(いまづや)〕佐太郎
『鬼平犯科帳』文庫巻5に収められている[おしゃべり源八]でで、畜生ばたらきが専門の〔天神谷(てんじんだに)〕の喜佐松一味の盗人宿として、駿府で仏具店〔今津屋〕の主人としてとり仕切っていたのが佐太郎である。
(参照: 〔天神谷〕の喜佐松の項)
事件の5年ほども前に、京がくだってきたといって、駿府のどこかに店を出して、ふつうの町人を装っていた。
年齢・容姿:60がらみ。容姿の記述はないが、年齢にふさわしく、灰汁(あく)ぬけのした、人のよさそうな風貌で、じつは〔天神谷〕の軍師格であったろう。
生国:上方から下ってきたというからには、京都弁にも馴れていたろう。
近江(おうみ)国高島郡今津村(滋賀県高島郡今津町今津)。
ほかに候補としては、丹波(たんば)国桑田郡今津町(現・京都府亀岡市今津)がかんがえられるが、池波さんが馴れている地名として滋賀県を採った。
探索の経緯:平塚の旅籠〔米屋〕に滞在して〔天神谷〕一味の探索にあたっていた〔小房〕の粂八あての、同心・久保田源八の文を取り次ぐべく受け取った番頭・梅太郎は、その夜から駿府へ旅立ち、そのまま戻ってこなかったという。
(参照: 〔小房〕の粂八の項)
2年前に、梅太郎を〔米屋〕へ紹介してよこしたのが、〔今津屋〕佐太郎であった。
同心・竹内孫四郎が駿府へ駆けつけてみると、梅太郎がやってきたとおぼしい去年の11月に店をたたんで
いずこともなく消えていた。
結末:〔天神谷〕の喜佐松の本拠である川崎宿の小さな旅籠〔大崎屋〕へ、火盗改メが打ち込んで捕らえた一味7名の中に、佐太郎老人がいたかどうかは書かれていない。
つぶやき:この篇の検証をするために、湯行寺と遊行阪を歩いた。30数年前、三崎半島へ海遊び゜のために車でこの阪を通ったが、歩いてみて、なるほど、小説の舞台としてはうってつけの景色と納得質。池波さんも、時宗の本山・遊行寺へ詣でたにちがいない。
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