池波さんの盗賊用語(50音順)
池波さんは『鬼平犯科帳』のために、数多くの盗賊用語を新しく考案した。
その手練はまことにあざやかで、感心させられる。
多くの読み手は、新造語と気がつかず、江戸ことばと信じているようだ。
(---)内は、池波さんがふったルビ。
p00は、旧版文庫の当該ページ 新p00は、新装版のそれ。
[0-0]の前の0、文庫の巻数、[-0]は、その巻中での篇の順番
あ行
盗金(あがり) [5-3 女賊]p108 新p113
密偵(いぬ) [1-1 唖の十蔵]p10 新p10
現役(いきばたらき) [7-3 はさみ撃ち]p84 新p89
急ぎ仕事 [1-3 血頭の丹兵衛]p106 新p111
急ぎ盗(ばたらき) [1-3 血頭の丹兵衛]p90 新p95
急ぎばたらき [16-1影法師]p12 新p12
色事(いろごと)さわぎ[1-7 座頭と猿]p239 新p253
隠居金(いんきょがね)[7-1 隠居金七百両]p58 新p60
おさめ金(ヽヽヽ) [5-1 深川・千鳥橋]p13 新p13
押し込み [5-4 おしゃべり源八]p145 新p152
お盗(つとめ) [1-3 血頭の丹兵衛]p106 新p112
盗(おつとめ) [1-5 老盗の夢]p178 新p188
お目あて細見 [3-2 盗法秘伝]p52 新p71
遠国盗(おんごくづとめ)[1-5 老盗の夢]p169 新装p179
女だまし(ヽヽヽ) [7-2 はさみ撃ち]p81 新p85
か行
鍵師(かぎし) [15-1赤い空p50 新装p51
貸しばたらき [1-7 座頭と猿]p235 新p249
首領(かしら) [3-2 盗法秘伝]p52 新p55
かための盃 [1-3 血頭の丹兵衛]p113 新p118
かため(ヽヽヽ)の盃[14-6さむらい松五郎]p264 新p
固めの盃(さかずき)[14-2尻毛の長右衛門]p48 新p
勘ばたらき [1-1 唖の十蔵]p21 新p22
ききこみ [7-3 掻堀のおけい]p116 新p122
狐火札 [6-4 狐火]p121 新p128
急場の盗(つとめ) [1-5 老盗の夢]p170 新p180
口合人(くちあいにん)[14-2尻毛の長右衛門]p50 新p
こそこそ(ヽヽヽヽ)盗(つと)め
[10-5むかしなじみ]p181 新p191
さ行
支度金(したくがね) [5-2 乞食坊主]p53 新p56
泥棒稼業(しらなみかぎょう)[1-5 老盗の夢]p175 新p185
助(すけ)ばたらき [7-2 はさみ撃ち]p80 新p85
た行
たらしこみ [7-3 掻堀のおけい]p115 新p121
畜生ばたらき [15-1赤い空]p50 新p52
仕事(つとめ) [1-4 浅草・御厩河岸]p139 新p147
盗金(つとめがね) [1-5 老盗の夢]p180 新p191
盗(つと)めざかり [6-4 狐火]p138 新p176
盗(つと)め人(にん)[21-2瓶割り小僧]p52 新p54
盗(つと)めばたらき [10-1犬神の権三]p27 新p29
つとめやすみ [1-5 老盗の夢]p174 新p184
つなぎ(ヽヽ) [14-2尻毛の長右衛門]p46 新p
密偵(てのもの) [10-1犬神の権三]p28 新p30
手びき [1-1 唖の十蔵]p22 新p23
盗賊宿 [1-5 老盗の夢]p170 新p167
な行
ながれづとめ [14-2尻毛の長右衛門]p46 新p47
流れづとめ(ヽヽヽヽ)[16-1影法師]p12 新p12
流れ盗(づと)め [7-2 はさみ撃ち]p85 新p90
嘗帳(なめちょう) [16-3白根の万左衛門]p114 新p
嘗役(なめやく) [12-7二人女房]p308 新p
ならび頭(がしら) [4-7 敵]p241 新p253
女盗(にょとう) [3-3 艶婦の毒]p106 新p112
盗人稼業の真(まこと)の芸
一、盗まれて難儀するものへは、手を出さぬこと。
一、つとめ(ヽヽヽ)をするとき、人を殺傷せぬこと。
一、女を手ごめ(ヽヽヽ)にせぬこと。
盗人宿 [2-5 密偵]p198 新p209
盗人宿(ぬすっとやど)[3-2 盗法秘伝]p66 新p69
盗金(ぬすみがね) [16-1影法師]p12 新p13
盗み細工 [7-5 泥鰌の和助始末]p155 新p165
盗みばたらき [16-1影法師]p12 新p12
鼠盗(ねずみばたらき)[1-5 老盗の夢]p174 新p177
は行
引退金(ひきがね) [21-5春の淡雪]p176 新p181
引きこみ [4-2 五年目の客]p51 新p53
引き込み(ヽヽヽヽ) [19-6引き込み女]p 269 新p277
一人盗(づと)め [18-2馴馬の三蔵]p67 新p70
ひとりばたらき [5-5 兇賊]p159 新p167
一人ばたらき [18-2馴馬の三蔵]p46 新p50
独(ひと)りばたらき [10-1犬神の権三]p16 新p
ま行
真(まこと)の盗賊のモラル
一、盗まれて難儀するものへは、手を出さぬこと。
一、つとめ(ヽヽヽ)をするとき、人を殺傷せぬこと。
一、女を手ごめ(ヽヽヽ)にせぬこと。
[1-4 浅草・御厩河岸]p131 新p138
ら行
蝋型(ろうがた)金蔵 [15-6落ち鱸]p269 新p279
錠前 [6-4 狐火]p166 新装p175
つぶやき:
さらに、用語を巻順に並べかえると、池波さんの造語の手順が分かる。
その順序は、後日、掲出。
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コメント
今朝コメント入れましたが消えてます、
思い出しながらもう一度。
妙を得た『盗賊用語』なので、リストつくりの最中でしたが、
既にちゅうすけさんが作成されていたんですね。
こんなのも目に付きました。
脅し役、下女泥、錠前外し、船方、見張り、洩らし屋
投稿: みやこのお豊 | 2006.06.23 19:43
ちゅうすけさん、ありがとうございます。
早速、掲載して頂いて、
これで、もう一度文庫を一から読み直す楽しみが増えました!
投稿: ぴーせん | 2006.06.23 20:03
>みやこのお豊さん
脅し役、洩らし屋、下女泥---たしかに造語くさい。
錠前外し---新造語かなあ。
見張り---これは、当然配置するでしょうが、池波造語とはいえないのでは?
ぼくがあげた中にも、池波造語じゃないのがまじっていますね、きっと。
投稿: ちゅうすけ | 2006.06.24 03:28
>ぴーせんさん
『鬼平犯科帳』のヒーロー---長谷川平蔵は実在した幕臣ですし、さらに、京極備前守高久、松平定信、田沼意次、山本伊予守、堀帯刀秀隆---なども実在した人たち。
平蔵をめぐる人間関係に目を向けることは、畢竟、歴史を検証することですから、我らが長谷川平蔵に、歴史探索の先導をしてもらう別のおもしろさが、『鬼平犯科帳』にはあります。
『鬼平犯科帳』と『剣客商売』とは、執筆時期が5年しかへだたっていません、しかるに、田沼意次の評価がまるで異なります。
池波さんの心の中で起きたこの変化も興味深いものがあります。
これからも、ごいっしょに、池波小説を究めてまいりましょう。
投稿: ちゅうすけ | 2006.06.24 03:37